『銀魂』『荒川アンダー ザ ブリッジ』 …思わず吹き出してしまうおすすめの爆笑アニメ4選(前編)

マンガ

更新日:2020/8/31

 コロナ禍で、まだまだ不安な日々が続いているが、この記事を読んでいるみなさんは、最近笑っているだろうか? 笑うと免疫力がアップするなんて話もあるし、生活から笑顔がなくなると、いよいよ鬱々とした気分になってしまう。こうした状況を回避する方法の1つとして、爆笑必至のアニメをご紹介したい。基本的には連続ものではなく、一話完結型の観やすい作品をそろえたので、まずは1話だけでも試しにいかがだろうか。面白さのあまり、思わず吹き出し、自然と笑ってしまうはずだ。

爆笑必至! SF×人情×ギャグのてんこ盛りアニメ!『銀魂』

銀魂
『銀魂』(空知英秋/集英社)

 シリーズ累計発行部数5,500万部を超える大ヒットギャグ漫画『銀魂』。漫画家・空知英秋により描かれた同作は、2003年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されるやいなや抜群の人気を獲得し、2019年6月、ついに完結を迎えた。主演・小栗旬による実写映画でも話題になり、アニメ版も大変好評で、第4期まで放送されている。

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 そんな大人気作品である『銀魂』は、天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が来襲して以来、価値観が一変した架空の江戸を舞台にした物語だ。サムライたちがかつて仰ぎ見た空には、宇宙船が飛び交い、廃刀令によりサムライから刀が奪われた時代。そんななか、銀髪の天然パーマで、超がつく甘党という風変わりなサムライ・坂田銀時(通称、銀さん)は、万事屋として、江戸で起こるあらゆる事件に立ち向かっていく。ひょんなことから銀さんの万事屋で働きはじめる志村新八(しむらしんぱち)、神楽(かぐら)の2人とともに、ドタバタな人情劇が展開される。

『銀魂』の特徴は、とにかくキャラの個性が豊かである点だ。いや、豊かすぎる点といったほうがいいかもしれない。江戸のサムライから、宇宙人に至るまで、個性の強すぎるキャラがたくさん現れる。例えば、ヒロインの神楽は、宇宙最強の戦闘民族「夜兎(やと)族」の女の子。チャイナ服に身を包む、一見するとかわいらしい女の子だが、大食い、乱暴、毒舌のおよそヒロインとは思えない3拍子をあわせ持っている。神楽は通称、「ゲロイン」とも呼ばれており、作中で、やたらとゲロを吐く。ゲロを吐くヒロイン…はたして、そんな型破りなヒロインがいままで存在しただろうか?

 また、「新選組」ならぬ「真選組(しんせんぐみ)」にも個性的なキャラが勢ぞろいしている。局長の近藤勲(こんどういさお)は、新八の姉・お妙(たえ)さんのストーカー。副長の土方十四郎(ひじかたとうしろう)はヘビースモーカー兼マヨラーだ。沖田総悟(おきたそうご)はバズーカを携帯したドS気質で、常に土方の命を狙っている。そして、真選組監察の山崎退(やまざきさがる)は、常にバドミントンのラケットを携帯し、カバディを得意とする、あんぱん中毒者だ。

 ほかにも、ここでは語りつくせないくらい、濃いキャラが大勢出てくる。各キャラのその型破りさは、見て確認してもらいたい。基本的には、どこから観ても楽しめるが、一話完結で観られるものとして、筆者がおすすめしたいのは、第120話の「一度取った皿は戻さない」である。

 寿司屋の親方が入院し店に出られなくなったため、急遽バイトだった、マダオ(まるで、だめな、男)こと、長谷川泰三(はせがわたいぞう)が店を任されることになった。だが、長谷川はなぜかかっぱ巻きしか握れなかった。シャリをとって、そのうえにネタをのせても、どういうわけか次の瞬間には、すべてがかっぱ巻きになってしまう。そんな長谷川を助けるため、銀さんたち万事屋が立ち上がる。客として訪れた真選組の近藤は、「イカ」を頼むのだが、回転寿司に流れてきたのは、どう見ても市川海老蔵にしか見えない、3代目烏賊蔵(いかぞう)だった!?

 このように、『銀魂』には、作品の至るところに、実際の芸能人のパロディと思われる人物が登場する。ネタにしすぎなこの突き抜けたパロディっぷりが、面白い。芸能人以外にも、『ドラゴンボール』や『ナルト』など、他作品のネタをここまでやって許されるの? というレベルで、全力で取り入れている。『銀魂』は、パロディ要素も含め、笑えるところが満載なので、ぜひゲラゲラ笑いながら観てもらいたい。

荒川の河川敷には、おバカな住人たちのカオスな日常があった!『荒川アンダー ザ ブリッジ』

荒川アンダーザブリッジ
『荒川アンダー ザ ブリッジ』(中村光/スクウェア・エニックス)

『荒川アンダー ザ ブリッジ』は、大財閥「市ノ宮グループ」の御曹司・市ノ宮行(通称、リク)が、荒川の河川敷に住むホームレスの美少女・ニノと出会い、そのほか、強烈な個性の住人たちと交流していく、ドタバタラブコメディである。

 主人公・リクは、大学生の身でありながら、すでに多数の会社を経営するエリート中のエリート。彼の家の家訓は、「他人に借りを作るべからず」だった。その徹底ぶりはすさまじく、バレンタインデーに3桁のチョコレートをもらっていたリクは、借りを作ってはならないと考え、すべてのチョコレートの持ち主を特定し、そのすべてを返却していたほど。

 そんな他人に借りを作らず生きてきたリクだったが、ある日、橋のうえでエキセントリックな少年たちに襲われ、ズボンを脱がされてしまう。欄干にズボンを引っかけられ、もはや人の手を借りなければどうしようもない、という時、ホームレスのニノが声をかけてきた。ニノの提案を拒み、どうにかしてズボンを取ろうとするリク。しかし、その時、欄干が崩れ、川の底へ…。溺れ死んでしまう! と思ったその瞬間、頭上から手が差し伸べられる。

 こうして、リクは人生ではじめて、ニノという他人に命を救われたのであった。ニノに対して、大きな借りを作ってしまったリクは、借りを返させてほしいと懇願。すると、ニノが申し出たのは、金でも、モノでもなく、「私に恋をさせてくれないか?」という、リクにとって意外なものだった…。

『荒川アンダー ザ ブリッジ』の面白いところは、リクが、才色兼備、眉目秀麗、運動神経抜群のなんでもできるエリート中のエリートなのに、「恋愛」という一点においては、素人中の素人であるということだ。普段はクールなリクが、ニノの予測できない行動にあたふたすることがしばしばあり、ああでもない、こうでもない、と激しいモノローグを展開する。初デートのときも、勉強のために少女漫画を読み漁るなど、恋愛に対するリクの的外れなアプローチが、観ている側を笑わせてくれる。

 もちろん、本作のヒロイン・ニノも魅力的で、常に「2-3」と書かれた体育のジャージを着用し、自分のことを金星人と称する、ちょっと電波な女の子。自ら川のなかに潜り、魚を素手で捕まえるワイルドな側面もあわせ持つ。そんなニノとリクの2人のかみ合わない会話や、不器用な恋模様がみどころの1つだ。

 さらに、荒川の河川敷を仕切っている村長にも注目してほしい。村長はなんと、カッパ……の着ぐるみを着た変な人だった。自分のことをカッパだと言い張っているが、川から上がると、着ぐるみの節々から、水がドバァと流れ出る始末。だが、それでも本人はカッパと言い張るし、河川敷の住人たちもリクを除き、全員がカッパと信じ込んでいる。

 星のマスクをつけた「星」というキャラも、実に面白い人物だ。星は、ギター片手に独創的な音楽を奏でるミュージシャンで、ニノに片思い中である。ゆえに、ニノの恋人になったリクに対して、激しい対抗心を燃やしている。リクと星の2人の間で繰り広げられる不毛なバトルも、愉快な場面として楽しめるだろう。

 そのほか、傭兵上がりで常に銃を携帯しているシスター、言葉責めが趣味で河川敷で牧場を営むマリア、イギリスから来た広島弁の武闘派少女・ステラ、白線の上以外を歩くことができないシロなど…極上の変人たちとの、ジェットコースターな日常が描かれている。

 1回の放送のなかで5話ほどの短い話がテンポよく展開し、数分ごとにオチが用意されている。そのため、一度観はじめたら、次から次へと話が展開していく、不思議なスピード感を味わうことになるだろう。テレビシリーズは第2期まで放送されているが、なかでも、第113話「荒川マラソン一発勝負大会」はおすすめだ。

 河川敷の住人によるマラソン大会が年1回開かれるのだが、大会へ参加する姿勢がキャラそれぞれでまったく異なっており、個性を楽しめる最上のエピソードになっている。ここから観はじめても、『荒川アンダー ザ ブリッジ』が、いかにエキセントリックなアニメなのか、おわかりいただけるはずだ。

文=木島祥尭