会話がないまま5年がすぎた夫婦の行く末は? SNSでバズって賛否両論巻き起こった野原広子さんの最新作『妻が口をきいてくれません』

マンガ

更新日:2023/3/17

妻が口をきいてくれません
『妻が口をきいてくれません』(野原広子/集英社)

「妻が口をきいてくれない。でもご飯は作ってくれる」こんな話を聞いたらどう感じるだろうか。史上最大級の謎? それとも“よくあること”だろうか。『妻が口をきいてくれません』(集英社)の作者・野原広子さんによれば、Webサイト「よみタイ」で連載が始まったころ、「ウチの家庭のぞきました?」と何度か言われたそうだ。巷ではけっこうよくあることらしい。

 連載時に累計3000万PVを超えた漫画に、描き下ろしを加えて刊行される本作。作者の野原広子さんは『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『消えたママ友』など数々のヒット作を生んできた人気作家。巧みな構成によって、よくあるはずの日常風景がまるでフィクションのように目に映り、いつの間にかはまっている“沼”感は本作でも健在。ほのぼのとしているようで、人間の深いところにあるブラックな感情がじわじわとえぐり出される。

自分の気持ち、相手の気持ちがよくわかる心理描写

妻が口をきいてくれません p.19

 本書は「夫 誠の章」と「妻 美咲の章」が順番に描かれ、5年間にわたる月日のなかで、それぞれの気持ちがどう変わっていったのかを明らかにしていく。

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 その中で、妻が口をきかない理由もはっきりと描かれる。「かわいそうとはわかっているけど、どうやって元に戻ればいいのかわからない」「夫のことは嫌いだけど不幸になってほしいわけじゃない(だからご飯はつくる)」など、程度の大小はあれど共感できる妻は少なくないのではないだろうか。筆者も同じく、美咲によって言語化されることで、改めて自分の気持ちに気づけた気がしている。

【試し読みはこちら】
▶「なにかしたなら謝るから」理由もわからずとりあえず謝る夫。余計なひと言が妻の怒りを誘う…!/妻が口をきいてくれません①