会話がないまま5年がすぎた夫婦の行く末は? SNSでバズって賛否両論巻き起こった野原広子さんの最新作『妻が口をきいてくれません』

マンガ

更新日:2023/3/17

 いっぽう、誠は5年間のなかで、積極的に家事をするようになり、美咲に「ありがとう」と伝えるようになるなど徐々に変わっていく。“夫も頑張っているんだな”と反省して、夫にすこし優しくできるようになる人もいるだろうか。シンプルにコミックとして楽しめる本作だが、自分たち夫婦のことについても向き合うきっかけになりそうだ。

複雑な女ごころ。夫にとってはミステリーかも

妻が口をきいてくれません p.109

 連載時から賛否両論あったという本作。夫側の目線で読む人からは「2人はこれからどうなってしまうのか」と心配する声が届き、妻側の目線で読む人からは夫への深い怒りの言葉が届いたという。どんな立場で読むかによって感じ方が違うところが興味深い。

 そして物語は衝撃のラストを迎える。これは“絶望”なのだろうか、それとも“希望”? 明確な答えを残さないからこそ、いつまでも余韻が残り、また読み返したくなる読後感。それにしても、女ごころというのはとてつもなくわかりにくく、夫にとってかなりミステリーかも。

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 読み終えて感じるのは、夫と妻はまったく別の生き物で、いつも感じ方が違っている。そして、“あの時こうしていたら違う未来が待っていたかも”と思える場面がたくさんあったこと。

 もし妻との関係をどうにかしたいと思っている夫は、本書を参照しながら、“手遅れ”にならないうちに手を打ったほうがいいかもしれない。「夫のことがどうでもよくなってきた」「やり直し方がわからない」と夫への気持ちが停滞している妻も、いまよりちょっと幸せになれるヒントが見つかるのではないだろうか。

文=麻布たぬ

【試し読みはこちら】
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