「つみたてNISA」って何がどうおトクなの? 「金利ってなんですか?」レベルからはじめられる投資の基本

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公開日:2021/2/5

すみません、金利ってなんですか?
『すみません、金利ってなんですか?』(小林義崇/サンマーク出版)

 社会人になって何年か働くと、だんだんと銀行口座に預けたお金がたまってくる。だがしかし、このお金、待てど暮らせど一向に増える気配がない。私たちが銀行にお金を預けると、「金利(=利子)」がつく。けれど、1年間預けたときの普通預金の金利は、大手の銀行では「0.001%」(2021年1月現在)だ。残高照会アプリを眺めていると、忘れたころに「オリソク」が振り込まれているが、雀の涙もいいところである。

 せっかく稼いだお金、寝かせておくだけではもったいない! そう思い始めたら、選択肢にあがるのが「投資」だろう。だが、調べると株や投資信託、債券などいろいろ金融商品があり、何からはじめていいか迷ってしまう。筆者も、投資を現実的に考え始めたとき、自分のお金の基礎知識がかなり曖昧なことに気がついた。

 今回は、同じ境遇の大人に『すみません、金利ってなんですか?』(小林義崇/サンマーク出版)をすすめたい。本書は、お金の知識がないことに気づいた28歳子持ちの編集者が、元国税局ライターの著者に、「○○ってなんですか?」と超基礎レベルから聞いていく本。投資に関する基礎知識がひと通り網羅されているから、予備知識ゼロでスタートできる。

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「投資信託」は“プロに投資を任せる”投資

すみません、金利ってなんですか? p.144-145

 たとえば「投資信託」。誰もが聞いたことはあるだろうが、いざ「なんですか?」と聞かれると説明に困ってしまう。著者によれば、「投資信託」は、「投資を“信じて託す”こと」。自分で個別の株などを売り買いするのではなく、投資の専門家に運用を任せることだ。

「投資信託」のメリットは、“託す”の字のとおり、やはり自分で売買する必要がない点だろう。自分で株に投資する場合、経済ニュースをチェックしながら売り買いの決断をしなくてはならない。これに対して、投資信託は投資のプロに任せられるから、あまり時間をかけられない社会人に向いている。初心者でもはじめやすいが、当然ノーリスクというわけではない。プロでも失敗して元本割れする可能性はあるし、“お任せ”する分、手数料もそれなりにかかる。チャレンジする場合は、きちんとデメリットを認識しておこう。

「NISA」って本当におトクなの?

すみません、金利ってなんですか? p.166-167

 株の話題になると、「NISA」「つみたてNISA」という単語を聞くこともあるだろう。「とにかくやったほうがいい」と言う人も多いが、実際何がどうおトクなのか。「NISA」は、「少額投資非課税制度」のことだ。簡単にいえば、投資をする人の税制を優遇する制度である。

 NISAは、ひとりあたり年間120万円までの投資額について、最長5年間生まれた利益に対する税金をゼロにする。似たもので「つみたてNISA」がある。いくつか条件が異なり、期間は20年、金額は年間40万円までだ。「NISA」との大きな違いは、積み立て型の投資に限定されており、長期的な資産形成に向いた投資信託しか選べない点である。自分の目指す投資スタイルに合わせ、どちらが向いているのかを考えよう。

 ちなみに、「そんなにウマい話があるのか?」と疑う人もいるかもしれないが、安心してほしい。この制度の根本にあるのは、「個人の資金を市場に呼び込んで活性化させたい」という国の方針。だから少額の投資に税金を掛けず、初心者が一歩踏み出す後押しをしているのだ。もちろん単純に投資に失敗する可能性はあるが、得られた利益が非課税になること自体は確実におトクである。

 本書では他にも、「日経平均株価」「確定拠出年金」「源泉徴収」など、社会人になるといつのまにか“知ってる前提”で話が進んでいく言葉を、会話形式で基本から解説。張り切って堅苦しい本を買うよりも、ずっと生活の役に立つはずである。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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