教師や司書を目指す現役大学生が、『集める図鑑GET！人体』を本気レビュー！

　KADOKAWAが刊行する図鑑シリーズ『角川の集める図鑑GET！』より、人体図鑑が発売されました。フィッシャーズ・シルクロードさんも絶賛した本書は、自分の体に興味を持ち始める未就学児から、中学受験を控えた高学年のお子さんまで長く使える図鑑とのこと。そこで、将来学校の先生や図書館司書になるために勉強中の現役大学生に、学生としての目線、未来の教育者としての目線、双方から本気でレビューしてもらいました!!

 
レビュアー：東京学芸大学 教職大学院2年 渡辺風太

「人生100年時代」を生き抜くために

「人生100年時代」という言葉を頻繁に耳にするこんにち、生涯学習や高齢者の雇用の促進、ライフプランの設計が重要視されていますが、私が最も大切であると感じていることは、いかに健康寿命を伸ばすかということです。「体が資本」という言葉もありますが、何事も健康な体があってこそ、さまざまなことに挑戦できるのではないでしょうか。

　ここで問題になるのが、健康を維持するためにどのようなことが必要かということでしょう。健康診断などいろいろな方法があると思いますが、まずは自身の体の仕組みを知るということが大切ではないでしょうか。自分の体のことでありながら、意外とよく知らないことが多いように思います。かくいう私も体の仕組みについて、興味・関心をもったことがあまりありませんでした。しかし、最近受診した健康診断の結果が悪く（食べ過ぎが原因です(;o;)）、それをきっかけに健康を維持するために、体の仕組みに興味・関心をもつようになりました。

「人生100年時代」を生き抜くために、とても大切な体についてですが、小さい頃から関心をもつということが重要です。しかし、体の仕組みといってもなんだか難しいような気がして、興味・関心をもたせるのは難しい。そんな時に、おすすめなのが『角川の集める図鑑GET！人体』です！

身近な疑問から深い学びへ

「人体」の図鑑と聞くと、とても難しい内容に感じると思いますが、本書では、さまざまな工夫がなされております。例えば、「身近なギモンに答えるQ &Aコラム」といった特集があり、P.22には「おなかがすくとグウグウ鳴るのはどうして？」など、誰しもが体験したことや疑問に思ったことがあるであろうQ&Aが設定されています。

　それだけではなく、さらに体について詳しく知りたいという気持ちに答えるために、「人体についてもっとわかるコラム」も設定されており、身近な疑問から深い学びへとつながる工夫がなされている図鑑です。

図鑑を通して体験的な学習を行えるか

『角川の集める図鑑GET！人体』では、「人体」という特徴を活かして、実際に体験して学習できる工夫がなされています。P.90〜91では、錯視によって脳が騙される体験や、裏見返しには「やってみよう！人体 ６つのトライ！」といったコラムが設定されており、図鑑の中で学んだことを実際に体験できます。

　学ぶだけで終わらず、自分の体でやってみるということは、新学習指導要領（おおまかな教育内容を定めたものであり、約10年ごとに改定される）でも重視されており、時代のニーズに対応した図鑑といえるのではないでしょうか。

感染症の歴史も学べる

　健康を害するものとして、真っ先に浮かぶのは病気ではないでしょうか。本書では、体の仕組みだけではなく、感染症の歴史について学ぶこともできます。P.104〜105では、14世紀に流行したペスト（黒死病）から現在の新型コロナウイルス感染症まで掲載されており、感染症がどのように流行していったのかなどについて学ぶこともできます。

　さらに、P.60〜61には古代の医療の発達、P .82〜83解剖の発達など、医療の歴史に関する記事も充実しており、歴史的な視点から、人体について考えることもできる工夫がなされています。

　また、「人体の発見と医療の歴史」という７回のコラムでは、それぞれ、年表が補足されており、視覚的に、どれくらい前に、どのような医療が行われていたのかがわかり、頭の中で整理しやすい、内容となっています。このように、時代の推移を理解することは、中学校の歴史学習でも重視されており、小学校段階から、このようなことに触れていることにより、中学校の歴史学習もスムーズに学ぶことができるのではないでしょうか。

魅力たっぷりの『GET！人体』!!

　このように魅力たっぷりの『角川の集める図鑑GET！人体』、一度手に取って、「人生100年時代」を生き抜く力を、身につけてください。

【ライタープロフィール】
渡辺風太 教職大学院・2年生

＜子どもの頃の図鑑の思い出＞
虫取りが大好きで、知らない虫を捕まえると、すぐに図鑑を開いて調べていました。私にとって、図鑑は知識の宝庫、先生のような存在でした。気が付けば虫の図鑑だけではなく、魚や動物、恐竜などたくさんの図鑑を手にとって、いろいろなことを調べていました。今でも子どもの時に使っていた図鑑は、大切に保管されていますし、図鑑を使って調べるという経験は現在に生きていると感じています。