しつけが不要って本当なの!? 「うちの子はごめんなさいが言えません」/『今日からしつけをやめてみた』①

出産・子育て

更新日:2019/8/27

あなたがしている「しつけ」は効果のないムダな行為です

 しつけとは、社会ルールや生活スキルを身につけさせ、周囲になじめるように教えること。でも2才や3才には、断言しますが通じません。「自分が!」と自我があふれ出すこの時期に、他人の気持ちを意識させるのは難しいからです。

 しつけをするのは、周囲の目が気になるからかもしれません。気持ちはわかりますが、大人には意味不明に思える行動も、子どもにとっては探究心や好奇心を育てる行為。

 それを大人の都合による正論でフタをすると、子どもの心をしぼませてしまいます。すると、内面が十分に育たず、他人の目ばかり気にする大人に。しつけのいちばんの問題点といえます。

 ですから、洋平くんのような場面では、「わざとではないよね。でも、お兄ちゃんは大好きな洋服で出かけたかったの」と声をかけましょう。自分の気持ちに気づかせ、こちらの気持ちを伝えるうちに、自然と「ごめんなさい」の気持ちが出てきて、4才や5才で相手の気持ちがわかるようになりますよ。

 周囲の目ではなく、あなた自身がどうしても教えたいことがあれば、しつけもいいでしょう。私の場合は「危険なことをした」ときなどは烈火のごとく怒り、それ以外は「まあいいか」と考えることが多いです。変わるかどうかは子ども次第ですが、「親の価値観を伝える」と考えればストレスもたまりません。

 急がなくても、子どもはゆっくりと「人間」になっていきます。「三つ子の魂百まで」とは、3才までに魂を十分に温めることではないでしょうか。この時期は、調教のような厳しいしつけではなく、「おなかを満たす」「危険にさらさない」など無条件の安心感を与えてあげて。その経験が、その子の一生を支えていきます。

<第2回に続く>

著者プロフィール:
柴田 愛子(しばたあいこ):1948年東京生まれ。保育者。
自らの目ざす幼児教育を求めて、仲間3人と「りんごの木」を創設。 現在、2~5才の110人の子どもが通う。 「子どもと大人との気持ちのいい関係づくり」をテーマに、講演や執筆活動を精力的に行っている。 子どもの目線に立ち、ズバリと本質を突くアドバイスで、子育ての不安を訴えるママたちから絶大な信頼を得ている。

あらい ぴろよ:1984年生まれ。イラストレーター。
営業ウーマン、ショップ店員などさまざまな仕事を経て2011年よりフリーイラストレーターとして活動開始。
ゆるかわ、ポップ系のイラストを得意とする。
一児の母として、さまざまなウェブ媒体に描くイラストマンガが好評。