「人間の左手を拾って家に持ち帰りました…」衝撃の出会いから始まる女子高生の奇妙な日常

マンガ

公開日:2020/6/5

すずねとひだりて
『すずねとひだりて』(榎のと/KADOKAWA)

 マンガで描かれる「運命の出会い」ってあるじゃないですか。みなさんならどういうシチュエーションが思い浮かびますか?

 そんなことをネットで調べてみたら、転校生が幼なじみだったり、街中で見知らぬ同士で偶然目が合ったり…など、多彩なパターンが紹介されていたが、やはり王道は、
・登校時に食パンをくわえて走っている主人公少女がイケメン男子と曲がり角で正面衝突して始まる、少女マンガパターン
・冴えない男子が歩いていると、空から美少女が降ってきて頭ゴッチンコして始まる、少年&青年マンガパターン
といったところじゃないだろうか。

・「拾って下さい」と書かれた紙が貼られた段ボールに入れられている動物に心奪われて持ち帰り、隠れて一緒に暮らすパターン
なども、マンガでよく描かれる運命の出会いのパターンだ。今回は、そんな王道パターン「主人公は少女」「空から降ってくる出会い」「家へ持ち帰って隠れて一緒に暮らす」といった要素を全部網羅するような衝撃的な運命の出会いを果たした女子高生・すずねの奇妙な日常を描いた作品、榎のと先生の『すずねとひだりて』(KADOKAWA)をご紹介!

変な子キャラの女子高生が拾った「とんでもないブツ」は?

 主人公の女子高生・すずねは、他のクラスメイトから見ると、“変な子キャラ”。その中でも、道端に落ちている変なものを拾う遊びは、特に群を抜いたクセの強さだった。

 ある日の放課後、すずねは、何かを拾いたいという気分になり、ある場所へとすーっと導かれる――そう…これが運命の出会いと物語の始まりだ!

 両脇の緑が豊かな道を散策する途中で突然インコに出会うも、飛んでいってしまう。その飛び立つ翼の音に反応したのか、木に隠れていたネコが落下。と同時に、ネコが何かを落としていったらしく、すずねはそれに触れ、持ってみると…それは、「誰かのひだりて」だった!


 いくら変なモノを拾い続けてきたすずねも、これにはビックリ…かと思いきや、触れたときの感触で何かの記憶が蘇り、家族に隠れてそのひだりてを持ち帰って飼うことを決意する。ちょっぴり、いや、とても変で奇妙なストーリーが始まるのだ。

 普通に読めばツッコミどころ満載だろう。自分なら警察へ届けちゃうけど、そこは、すずねちゃんの変な性格が「ひだりてを拾って家で飼う」という選択をさせたのだ。ちなみに、このひだりては、勝手に動き、自我を持っている。さらに、すずねが外出する時には、マイバッグに一緒にひだりても入っており、ときには長い袖の中で握り合ったり…と、まるで恋人のように楽しい毎日を一緒に過ごすのだ! この“ひだりて”はいったい何者なのか? 誰の落とし物なのか? 読んでいくと少しずつ明らかになっていく。

 主人公少女のキャラクターや今後の展開も含め、ただものではない物語であることを自信を持ってお伝えしたい。もしここで気になった方がいたら、読まないと後悔しますよともひとこと添えたいくらいだ。物語の展開は、表紙のイラストのイメージを超えて、実に人間味溢れ、ストーリーの裏にはとても深い事情があることも描かれる、とても心温まる内容なのだ。


 そう、この意思のある手首と少女の物語は、不思議と心温まる“愛の物語”でもあるのだ! なぜ、すずねは生首(手首だけど)のような状態のひだりてに、なんの抵抗感もなく接しているのか…そこにも実は重大なヒントが潜んでいる。ぜひその答えを、“あなたの手”でつかんでほしい。少女とひだりての不思議な関係は、あなたの心をほんわかと温かくしてくれるはずだ。

文・手書きPOP=はりまりょう

この記事で紹介した書籍ほか