関係が壊れるくらいなら、友だちでいい。切ない美しさで魅了する、“片想い”ドラマ『Theory of Love』で泣こう

エンタメ

公開日:2020/6/26

 いまやTwitterの世界トレンドで1位を取るほどの人気コンテンツとなった“タイBL”。とはいえ、タイのドラマ、しかもBLという世界に二の足を踏んでいる人も多いはず。そんな人たちにこそ知ってもらいたい、今だからこそ観たかったラブストーリーが満載のタイBLの魅力を、その沼にハマったいちオタク目線から紹介します!

 タイBLのすばらしさを語る連載『あつまれ! タイBLの沼』。第3回は、タイBL史上もっとも切ないと言っても過言ではない、心が締め付けられる『Theory of Love』を紹介します。

 本作に登場する、芸術専攻の大学生4人組、Khai、Third、Two、Boneは学校でも人気者のいわゆる『花より男子』の“F4”のような存在。でも、Thirdは、大学に入り親友となったKhaiを好きになってしまったため、女の子からどんなにアプローチをされても、冷たくあしらい、恋愛をすることはありません。しかし、愛するKhaiは驚くほどの女ったらし、次から次へと彼女をとっかえひっかえしてはトラブルを起こし、その後始末を、あろうことかThirdにさせるほど。彼がThirdの想いに気づくまで、マジでこの男、どうしてやろうかと世界中の視聴者がブチ切れているに違いありません。Thirdはなんで、こんな男のことが好きなの! ……でも、どうしようもない男だとわかっていても、好きになってしまったらもうどうにもできない想い、経験している人は多いですよね。そう! もう好きになったら負け! 好きなの! 大好きなの!

観たらわかる…切ないシーンや…

 …少々取り乱してしまいましたが、そんなKhaiが女の子と一緒にいるところを見かけては本当に悲しい顔をして、でも気持ちを外に表すこともなく、家のシャワーを浴びながら、必死に涙と悔しさ、悲しさを水とともに流すThirdは、本当に切なくて苦しくて…。つねに苦しい想いをしながら3年間も親友として一緒に居続けたThirdは、溢れる想いをこらえることができず、2話で映画の告白シーンを模して一世一代の告白をするのですが、まさか自分のことを好きだとも想像もしていないKhaiは「失恋した俺をなぐさめてくれるのか」と勘違い。もう思いは届かない、この思いは胸にしまおう。もうこれ以上は望まない。だって、僕は彼の“親友”だから――。

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#1stAnvTheoryOfLove

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『2gether the series』や、『SOTUS the series』は、切なさもに加えて、コミカルでポップでキュンとするシーンも多く、ニヤニヤしながら見ることができましたが、この『Theory of Love』は一味違います。徹底的に“片想い”を描いているからこそ、とにかく切なく、Thirdが美しく、そして、こらえながら、浴室で、暗い場所で泣く、泣く、泣く!

 友だちとしてそばにいられなくなるのならば、自分の気持ちを伝えず、このままでいたい。関係が壊れるのだけは避けたい。いまのままで十分。そんな想い、誰もが一度はしたこと、ありますよね!? あの苦しくて、どうしようもないやるせない思いを、Third演じるGunが本当に繊細に、美しく演じてくれるんです。目線ひとつ、手の動きひとつでその苦しさがより深く伝わるほど。

 本作は中盤から、Khaiの目線で語られるようになります。ネタバレになるので多くは書きませんが、あれだけ憎くてブチギレていたKhaiを、物語が進むにつれ、いつのまにか応援してしまっている人も多いはず。この2人の関係がどうなっていくのか、そしてここでも、タイBLあるあるである、ウルトラ報告・連絡・相談が下手くそな2人がすれ違いまくり、大事なケータイも電源が切れて繋がらず、より2人の溝は深まってしまうという、日本から充電器をすぐさま航空便で送ってあげたくなるような展開も待っています。

切ない…。

 さらに注目したいのが、この2人と一緒に行動するTwoとBoneの存在。Twoは誰よりも早くThirdの想いに気づき、寄り添い、応援してくれる大切な存在。そして、DVDのレンタルができるカフェでアルバイトをしながら、そこに来る女性に恋をする、ほかの3人よりも少し大人びたBoneと、4人一緒に映画業界で働くという夢を目指しながら恋に勉強に励んでいく姿は青春群像劇としても楽しむことができるのです。ちなみにKhai役のOffは『SOTUS the series』に、Bone役のMikeは『2gether the series』に出演しているので“おっ”と思う人も多いはず。本作を放送しているテレビ局「GMM」は、局所属の俳優がほとんどのため、ひとつ作品を観れば、他の作品でも顔を覚えた俳優さんたちが出演してくれているのも嬉しいですよね。

 本作は、大学の芸術専攻が舞台ということもあり、映画をモチーフに描かれているシーンも多数。ところどころで名作の名言や、オマージュなどが描かれ、映画ファンも楽しむことができます。Boneが働くカフェのオーナーも映画オタクだからこそ、貸し借りするDVDの物語を深読みしては「あいつはお前のことが好きかも」と恋するBoneの背中を押すシーンも。制作陣が映画をリスペクトしているのがわかる画角での撮影や、映像美などが際立つのも本作のポイント。なによりオープニングの映像が本当にスタイリッシュでカッコいいので、ぜひ見てください!

 そしてこの主演のなかの人の2人 “OffGun”と呼ばれるOffとGunは、本作でLIVE TV AWARDS 2020のベストカップル賞を受賞。プライベートでもとっても仲が良く、かわいいGunとスタイリッシュなOffという2人がびっくりするほどじゃれ合う姿もよく見られるのでぜひインスタも見てみてくださいね。

いつまでも仲良し

おふたりとも、とびきりキュートでクールな写真をアップしてくれています!

Gun

Off

 彼らは先日、「GLOBAL LIVE FAN MEETING」を開催しました。「VLIVE」のアプリで、アーカイブのチケットを購入後、視聴可能なのでぜひチャンスをお見逃しなく!

 ちなみに私はあまりの切なさに、日常生活まで切なくなっていくのを防ぐため、とびっきりのコメディ『MY ENGINEER』(こちらはコミカル路線で最高に面白い)を挟み、笑いを摂取しながら見ることで心を落ち着かせていました。みんなちがってみんないい!

 もちろん一気見も良し、たまにコメディ作を挟むも良し、思いきり感情移入をさせてくれる素敵なドラマですので、ぜひ観てください!

文=吉田可奈

<プロフィール>
吉田可奈:好きをとことん広めたいエンタメ系フリーライター。ダヴィンチやInRed、俳優誌などで執筆中。