ワクチンの「副反応」が心配… ワクチン接種について学ぼう!/感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた⑥

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公開日:2021/1/21

ワクチンと免疫

 種痘、狂犬病ワクチンで何故、病気にならないのか? パスツール、コッホをはじめとした病原体の狩人たちによって病気の原因が細菌やウイルスであること、抗体の存在が発症を抑えることがわかりました。その後、多くのワクチンが開発されました。ワクチンで何故抗体ができるのか? 何故免疫ができるのか? 疑問が湧いてきます。

 免疫とは「疫病から免れること」を意味し、病原体に対する生体の持つ感染防御機構です。血液中を流れているということで液性免疫としての抗体「T細胞」によってウイルスに感染した細胞をやっつける細胞(キラーT細胞)があります。免疫に関連する細胞にはB細胞とT細胞があります。B細胞は抗体を産生する細胞に分化します。T細胞は抗体産生の指令を出すヘルパーT細胞とキラーT細胞があります。B細胞のBはブルサファブリキウスと言って鶏の抗体産生の発達に不可欠な組織である「ブルサ」の「B」から来ています。T細胞のTは細胞性免疫能に関与する胸腺(胸骨と心臓の間にある組織:Thymus)のTに由来します。

 こうした免疫は病原体に特異的に反応する獲得免疫です。生まれながらにそなわっている自然免疫に対し、病原体など異物と接することで免疫機能を発揮することからこう呼ばれています。ワクチンで誘導するのはこの獲得免疫です。病原体の侵入に対して最初に働くのが自然免疫です。病原体の抗原分子を認識する機構と細胞や生体にとって危険なシグナルを認識する2つの機構があります。この反応によりインターフェロンと炎症性サイトカインが産生され獲得免疫を誘導します。何か難しい話になりますが、自然免疫は侵入してきた病原体、ワクチン抗原を認識しサイトカインの産生を介して獲得免疫としての抗体産生、細胞性免疫を誘導する橋渡しをしています。

 血液の中には、赤血球、白血球、血小板が流れています。赤血球は酸素を運び、血小板は出血を止める働きをします。白血球の中には炎症細胞として好中球、アレルギー反応に関連する好酸球、そして免疫反応をつかさどるリンパ球があります。リンパ球にはB細胞とT細胞があります。最初に働く自然免疫の細胞はナチュラルキラー細胞やマクロファージで病原体や感染した細胞をやっつけようとします。病原体が侵入すると炎症反応が起こります。ワクチン接種でも異物が入ってくるわけですから炎症反応が起こりこの働きをしているのは白血球の中の好中球という細胞です。

 それぞれの細胞が重要な働きをしていますがT細胞は免疫の司令塔の役割をしており、有効なワクチンはすべてこうした自然免疫系を活性化するのです。

続きは本書でお楽しみください。