話し合いや会議を良くするためには、「議論」ではなく「対話」へ導くことが必要/グラフィックファシリテーションの教科書

ビジネス

公開日:2021/9/18

 グラフィックファシリテーションとは、絵や色を使って話し合いの様子を「見える化」し、みんなで語り合い一緒に探究する楽しさなどを実感させてくれるもの。「話し合い」をより豊かで面白いものに変えてくれる「魔法のツール」です。

会議などで、参加者の意見が深まらず、みんなが他人任せになってしまったことはありませんか? そんなシーンには、言葉では伝えきれない思いや雰囲気を、絵や線を使って可視化し共有するグラフィックファシリテーションを活用しましょう!

NHK総合『週刊ニュース深読み』で、グラフィックファシリテーターとしてレギュラー出演していた著者が贈る、グラフィックファシリテーションを学ぶ決定版です!

※本作品は山田夏子著の『対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書』から一部抜粋・編集しました。

『対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書』を最初から読む


対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書
『対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書』(山田夏子/かんき出版)

「議論」と「対話」の違いって何?

▶▶▶「議論」は結論を出すありき。「対話」は背景を理解し合うことを大切にします。

ファシリテーターは、話し合いや会議の「場」がどうなっているかにアンテナを張りましょう。
話し合いや会議を「良く」するには「議論」ではなく「対話」にしていく必要があります。

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

議論の目的は、結論を出すこと

「議論」は、結論を出すことが前提になっています。「結論を出す」ため、たとえ参加者が納得していなかったとしても、話し尽くさず、結論を出すことに急ぎがちになります。
そのため、後から「本当は、こうしたかった」「そもそも良いと思ってなかった」と、ちゃぶ台返しが起きることもあるのです。

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

対話は結論に固執せず、背景を理解し合う

「対話」は、結論を出すことに固執しません。話し合いや会議の参加者が、お互いの意見や主張の「背景」を深く理解し合うことを大切にします。

背景を深く理解し合った結果として、主張し合っていた参加者同士が、お互いにとって「新しい解」を見出せる可能性があります。

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

「対話」を経て決めることで、「主体的な合意形成」ができる

ファシリテーターは、急いで結論を出そうと焦ってはいけません。まず、参加者同士が、お互いの背景を深く理解し合うことが必要です。「議論」を「対話」の次元に深めてから「決める」。そのプロセスが、参加者の主体性の鍵となります。

しかし、言葉だけが飛び交うと、頭では理解できても納得できない「議論」に終始することが多くなり、理想の合意形成にはたどり着けません。

また、「対話」のために、いったん結論を出すことを手放しても、「議論」に慣れている人は相手の話を待てず、耳を傾けられなくなりがちです。
グラフィックファシリテーションは、話し尽くさずに「ともかく結論を出したくなる」ことに待ったをかけ、意識的に「対話」に居とどまるために「グラフィック」を使っています。「対話」を経てから決めることで、参加者の主体的な合意形成を叶えるのです。

主体性や理想的な合意形成、「描く」効果については、CHAPTER2から詳しくお伝えしていきます。

対話とアイデアを生む グラフィックファシリテーションの教科書

<第4回に続く>

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