世界で絶賛の注目作の監督が伝えたい、一番リスペクトすべき存在とは?『レンタル・ファミリー』監督・HIKARI【インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2026/3/3

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年2月号からの転載です。

 17歳で単身留学した自身の経験から、日本で暮らすアメリカ人俳優の物語を紡いだ監督。

「主人公を女性にすることも考えつつ、(依頼人のひとりに)シングルマザーを設定したので、やっぱり男性のほうがしっくりくるなと。それに白人男性って、人種のなかで最もパワーのあるイメージですよね。でもそれは一部でフィリップは真逆キャラ、不完全だけれどとても優しい心のもち主。そんな白人男性の成長を描きたいとも思いました」

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 主演のオスカー俳優を支えるのは、オーディションで選りすぐられた日本人キャストたち。

「繊細で、ちょっと寂しげでいて情熱的。フィリップ役に必要な資質が、ブレンダン(・フレイザー)には詰まっていると直感しました。オーディションでは彼との相性、バランスを重視して。山本真理さんは芯の通った強さが(フィリップの同僚の)愛子役にぴったりですし、背が高くて、大柄なブレンダンとのバランスもすごく良かったです」

 初長編作『37セカンズ』に続き、セックスワーカーも登場。

「やっぱり衣食住プラス性、それが人間には欠かせないと思います。ただしLolaの本当の役割は、フィリップのセラピスト。彼の孤独を癒す存在なんです」

 自作に常に託すのは「前向きに生きる」ためのメッセージ。

「今回は2つあります。私の経験では、仕事仲間やご近所さんがいつしか家族のようになっていて。もし実の家族とうまくいかなくても『なんでやねん』じゃなく、『ありがとうございます』というポジティブなエネルギーを出せば世界は変わる。勇気をもち人との繋がりを大切にしてもらいたいです。2つ目は〈八百万の神々〉の思想。神があらゆるところに存在し、手を合わせるというすばらしい文化がありますよね。“神さまは皆さんのなかにも存在します”といいたい。一番にリスペクトすべきは自分だと伝わればうれしいです」

HIKARI
ひかり|監督
大阪出身。ダンサー、ミュージカルパフォーマー、画家、写真家としての経歴を持つ受賞歴のある脚本家、監督、プロデューサー。映画『37セカンズ』で長編映画監督としてデビュー。同作は第69回ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、パノラマ観客賞、CICAEアートシネマ賞のW受賞の快挙を達成。最優秀新人監督賞にもノミネートされるなど世界的に高い評価を獲得した。テレビ作品として、エミー賞® 受賞シリーズ「BEEF/ビーフ」の第一話監督、「TOKYO VICE」などがある。第50回トロント国際映画祭で今最も注目されるクリエーターに贈られるEmerging Talent Awardを受賞し、名実ともに世界が注目する映画監督に名を連ねたほか、第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の審査員も務めた。
ヘア:EIJI KADOTA メイク:ITSUKI

© 2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
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レンタル・ファミリー
監督、共同脚本、プロデュース: HIKARI
出演:ブレンダン・フレイザー、平 岳大、山本真理、柄本 明、ゴーマン シャノン 眞陽 2025年アメリカ、日本 110分 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 2月27日より全国公開
●東京に暮らす落ち目のアメリカ人俳優、フィリップ。日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分を見失いかけていた。そんななかレンタル家族として“仮の”役割を演じる仕事に出合い、想像もしていなかった人生の一部を経験する……。

しばた・めぐみ●フリーランスライター。『韓国TVドラマガイド』『MYOJO』『CINEMA
SQUARE』などの雑誌のほか、映画情報サイト「シネマトゥデイ」にも寄稿。韓国料理、アジアンビューティに目がない。

ダ・ヴィンチ 2026年3月号 [雑誌]

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