「駅まで車で送るよ」と後輩に声をかけたのに… ひとりになった瞬間「余計なこと言ったかも」と気に病む先輩イヌ。その頃後輩が考えていたのは…【書評】
公開日:2026/10/1

会話が終わったあと、「あれ、言わなくてもよかったかも」とつい後悔してしまうことがある。相手の気持ちを想像して、「嫌な気持ちにさせたのでは」とひとり反省会。でも、本当に相手は傷ついたのだろうか。実はまったく別のことを考えている可能性だってある。
『働く!くよくよ犬』(ろふ/KADOKAWA)は、些細な言動にもくよくよしてしまう主人公・イヌと、マイペースな後輩・ネコくんを描くお仕事コミック。正反対のふたりのやりとりが、なんとも愉快な作品だ。
ある日、駅まで歩いて帰ろうとしていたネコくんに会ったイヌは、「僕も今帰りだから駅まで乗せていこうか」と声をかける。車通勤のイヌは、「仕事が終わって、車のドアを閉めてひとりになったときホッとする瞬間が好き」と話しながら駐車場へ向かい、ネコくんを残して車を取りに行った。
ところが、ひとりになった途端に“くよくよ”が始まる。「一人になったときホッとする」なんて言ったら、ネコくんは「本当は一人で帰りたいのかな」と思うのではないか。「一人になるのが好きなのに送ってもらうの悪いなって思ってるかもしれないじゃないか…」。一度考え始めると止まらず、発言を悔やむ思いはどんどん膨らんでいく。
けれど、イヌが悔やんでいる間、当のネコくんはというと……。ネコくんが何を考えていたかを知れば、「そんなに心配しなくてもよかったのに」とイヌに声をかけたくなってしまう。自分が気にするほど、相手は深刻に受け止めていないのかもしれない。相手の気持ちを想像しすぎる人ほど、身に覚えがありそうな一作だ。
文=アサトーミナミ
