谷原章介「気になった本は、とりあえず買ってみます」

あの人と本の話 and more

2017/6/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、衝撃の刑事ドラマ『犯罪症候群』に出演中の谷原章介さん。10年間司会を務めた『王様のブランチ』では本のコーナーもあり、さまざまな本との出会いもあった。その中で感じたこととは?

「Season 1」「Season 2」の二部構成となるドラマ『犯罪症候群』。「Season 2」では、谷原さん演じる鏑木護の闇に焦点が当てられていく。読書家のイメージがある谷原さんだが、出演する作品の原作は事前には読まないようにしているのだという。

「もともと読んでいる本ならいいんですが、同時期に台本と原作小説を読んでしまうと、分けて考えようとしても、2つがいつのまにか混ざってしまうんです。原作と設定が異なることもよくありますし、自分が向き合って役柄を作り上げるのは台本ということで、そちらをまず大事しようと。今回演じる鏑木も複雑な人物なんですが、“どう演じるべきか”って掘り下げていくのではなく、共演者の方と芝居の中で投げ合うボールによってだんだんと見えてくるものがある。そのやりとりを自分の中に蓄積するようにしています」

『王様のブランチ』の本の紹介コーナーで谷原さんが語る本の感想もなかなか多彩な内容だった。読書のスタイルとしては、ジャンルにこだわらず、横断的に読んでいるという。

「それは『王様のブランチ』のおかげかもしれませんね。番組で薦められて、実際に読んでみたらおもしろくてハマって、作者の方にゲストとして登場いただくことも結構ありました。これだけたくさん本があると、死ぬまでに到底全部は読めない。だから、一つのジャンルだけにこだわってるのはもったいない気もします。おもしろそうだと思ったら、とりあえず手に取ってみる、買ってみるというやり方なので、読む前にどんどん増えていきます(笑)」

 薦められたり、興味を持ったりしたら、とにかく買ってみるというのが、谷原式の読書世界の広げ方なのかもしれない。そのコツは自分から世界を狭めずに、アンテナを高くすること。今回紹介してくれたのは1960年代のニューヨーク・ハーレムを題材にした吉田ルイ子『ハーレムの熱い日々』である。読んだのは1988年頃。もともと音楽が大好きでブラックミュージックにも関心のあった、当時(高校生)の谷原さんにとっては、ヒップホップ全盛期以前の黒人文化を知ることができたという意味でも興味深い一冊だったそうだ。いま気になっている本についても訊いてみた。

「松下竜一という作家さんがいるんです。大分県で社会運動をずっとされていて、もともとは豆腐屋さんだった。その方の著書を僕の好きな方が雑誌で褒めていらっしゃって。貧乏だけれど、すごく楽しそうに日常を送っている、と。その方の評し方も素晴らしくて、『ああ、読んでみたいなあ』と思いましたね」

 そうやって、どんどん読書家の世界は広がっていくのだ。

(取材・文=杉江松恋 写真=川口宗道)

谷原章介

たにはら・しょうすけ●1972年、神奈川県出身。92年『メンズ・ノンノ』の専属モデルとなり、95年、映画『花より男子』で俳優デビュー、同年にはTBS系『未成年』でテレビドラマ初出演。07年から10年間『王様のブランチ』2代目司会者を務めた。4月から『谷原章介の25時ごはん』が始まっている。
ヘアメイク=市川摩衣子(unsarto) スタイリング=村上忠正

 

『ハーレムの熱い日々』書影

紙『ハーレムの熱い日々』

吉田ルイ子 講談社文庫 581円(税別)

フルブライト国際交換留学生として渡米した著者は、現地で結婚し、ニューヨークのハーレムで生活を始める。そこは貧しいが明るさに満ちた黒人たちが暮らす街だった。だが公民権運動の高まりとともにそうした街の空気は一変していく。人種問題が最も熱かった時期を間近で目撃した著者による迫真のノンフィクション。

※谷原章介さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ7月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ『連続ドラマW 犯罪症候群 Season 2』

6月11日~7月2日 毎週日曜 22:00~23:00(全4話)  ※第1話無料放送
原作/貫井徳郎『殺人症候群』(双葉文庫) 出演/谷原章介、玉山鉄二、渡部篤郎 ほか ●相次ぐ未成年者の死亡事故。殺人歴のある被害者。そこに事件の匂いを嗅ぎ取った警視庁の環敬吾は、妹を未成年に殺され刑事を辞した武藤隆に調査を依頼する。亡くなった武藤の妹を愛していた刑事の鏑木護。彼が異動になった署の管轄内でも繁華街の非常階段付近で少年の死体が見つかった。