「撮影は、ほとんどゲリラでした(笑)」映画『台湾より愛をこめて』落合モトキ インタビュー【前編】

エンタメ

2018/3/22

 台湾を舞台に、夢を追う男2人の珍道中を描いた青春ロードムービーが誕生した。監督の三原慧悟さんは、台湾でフォロワー数38万人を誇るユーチューバー。旅する男2人を演じたのは、落合モトキさんと大野拓朗さん。まるで彼らの旅ドキュメンタリーのような、ラフな風合いが魅力の映画『台湾より愛をこめて』。主演の一人である落合モトキさんに、撮影時のエピソードや映画の見どころなどを訊いた。


おちあい・もとき●1990年、東京都生まれ。96年に子役としてデビュー、その後数々の映画、ドラマに出演。出演作にドラマ『4TEEN』『おっさんずラブ』、映画『桐島、部活やめるってよ』『天空の蜂』『アズミ・ハルコは行方不明』『笑う招き猫』『リンキング・ラブ』『全員死刑』など多数。3月17日(土)より『素敵なダイナマイトスキャンダル』が公開。

「とにかく、ずーっとカメラが回っていて、普通に喋っていたところも映画のなかでは使われていましたね(笑)。僕が大野くんを撮ったハンディカムの映像も、スクリーンには映し出されて、“こんなに綺麗に映るんだ!”とびっくりしました」

 子役としてデビュー、これまで映画やドラマでさまざまな役柄を演じられている落合さんだが、本作についてはどんな印象を抱いたのか?

「タイトルを見た途端、“あ、台湾行けるんだ!”と、なんかうれしくなりましたね。以前、一度だけ仕事で行ったことがあるんですけど、いろいろ回れなくて。今回ももちろん撮影ではありましたけど、男2人、プライベートで楽しんでいるところを撮られちゃった、みたいな感じだったので、素でも楽しんでいました」

 5年前の、台湾の海辺から始まるストーリー。漫才師として成功することを夢見る雄介(大野拓朗)と光一(落合モトキ)は、台湾で歌手を目指している少女・リンと出会い、約束を交わす。“3人の夢が叶ったら、5年後、この地で再会しよう”と。
 けれどコンビは3年前に解散、光一は芸の道をあきらめて会社員に、雄介はピン芸人となって、売れない日々のなか燻っていた。“今から、台湾に行こう!”そんな光一のひと言から始まる珍道中。リンと交わした約束の日は明後日に迫っていた。

「誰もがいつかどこかで葛藤した想いをド直球で描いた物語。脚本を読んで、“他人事じゃないな”という印象を強く持ちましたね。“夢を追いかけている人”と“夢をあきらめて堅実な道を選んだ人”という2人の姿は観てくださる方も身近に感じていただける設定ですし、それだけに生半可な気持ちでは演じられないなと思いました」


■セリフは現地でどんどん変わっていった。アドリブも連発!

 ストーリーには、監督・三原慧悟さんの実体験が織り込まれているという。大学時代から学生映画祭で数々の賞を受賞し、フジテレビに入社。入社1年目でドラマの脚本・監督としてデビューする。だが彼は会社を辞め、“台湾でアイドルになる!”という夢を抱いて、一路、台湾へ。今、アイドル活動とともに、フォロワー38万人を誇るユーチューバーとして、当地で絶大な人気を誇っている。

「台湾で三原くんは“サンユエン”って呼ばれているんですけど、どこへ行ってもすごい人気で。年齢がほぼ一緒ということもあって、ここまで距離感の近い監督は初めてでした。大野くんと三原くんと僕と、まるで友達同士で仕事をしているような感じ。演出も“ここはこうして”というのではなく、“2人で楽しく、イェー!って感じでやってみて”とか、擬音を駆使して、伝えてくることが多かったですね。雄介と光一の空気感を表現する感じで。だから、こちらも終始“わかった、やってみる!”っていうノリでした(笑)」

 そんな三原監督は、なんと本人役で映画に登場している。映像からは、撮影時の勢いや楽しさも伝わってくるよう。しかもロケは、ほとんど“ゲリラ”だったという。

「空港から始まり、バスの中、九份(キューフン)と、ほぼ順撮りでした。着いたその場で撮影を始めてしまうことも多くて、目を凝らしていただければ、後ろのほうで、“あれ、何? 撮影?”って言っているような人たちが見つかると思います。バスの中では、たまたま乗り合わせた方たちと大野くんが話し始めて、それも1シーンとして使われています。ご本人たちがこの映画を観てくださったら、きっとびっくりするんじゃないかな(笑)」


 セリフもアドリブが多かったという。

「光一がハンディカムを回しているところは、ほとんどアドリブですね。一応台本はあったんですが、監督とプロデューサーが、夜、部屋に集まって“今日、ここまで撮ったけど、このあとのシーン、やっぱりこうしたほうがいいよね?”って、どんどん変わる。そして、僕らにはセリフを書いた紙一枚がペラっと渡されるという(笑)」

 20代後半の男2人がもう一度、人生を見つめ直す――夜市を舞台に繰り広げられる、2人がそれぞれの感情をぶつけ合う激しいシーンも、直前に書かれたセリフを受け取って臨んだという。

「クライマックスともいえる、そのシーンもゲリラ撮影でしたが、それまで、ほとんど一発OKが出ていた本作のなかで、5~6回テイクを繰り返しました。大野くんと2人で演っているうちに、だんだんいい感じになっていく手応えがあって。自分のなかに溜まっていたものが互いに言えた、それが言えた爽快感というものが成立した、という手応えがありました」

“雄介には夢をあきらめない才能がある”――2人のやりとりのなかにある、光一の言葉が刺さってくる。若さや勢いにまかせた励ましではない、地に足の着いたその言葉は、“20代後半”という温度にやわらかにマッチしている。

「それまでいろいろやってきた時間を前提として、雄介の才能をちゃんと認めている言葉ですよね。ちゃんとオブラートに包んで、相手の掌に乗せている感じがする」

 互いに心をさらけ出せる無二の友。珍道中で繰り広げられる掛け合いの息もぴったり。中国語でトライする漫才シーンも……。だが、出演オフォーをもらったときに相方が大野拓朗さんだと知って、実は「ちょっと緊張感があった」のだという。

【後編につづく】

取材・文=河村道子  写真=海山基明

映画『台湾より愛をこめて』
出演:大野拓朗 落合モトキ
岡本夏美 広橋佳苗 梁鈺杰 陳宏亮/宇宙 長谷川忍(シソンヌ)
監督:三原慧悟 脚本:三浦駿斗 音楽:Nagacho
製作:イトーカンパニー 宣伝・配給:ユナイテッド エンタテインメント 
宣伝協力:ボダパカ
2017年/日本/61分/カラー/HD/ステレオ/デジタル上映
公式ホームページ:http://taiwan.united-ent.com/
(c)「台湾より愛をこめて」製作委員会

●公開詳細
【東京】3月24日~ 新宿シネマカリテ
【愛知】3月24日~ イオンシネマ名古屋茶屋
【大阪】4月7日~ あべのアポロシネマ、4月14日~ シアターセブン
ほか全国順次公開!
3月16日~ 撮影地でもある台湾での上映も決定!!

漫才師として成功することを夢見るも、コンビを解散し、別々の道を歩んでいた雄介(大野)と光一(落合)。「3人の夢が叶ったら、もう一度この場所で再会しよう」――5年前に台湾で出会った歌手志望の女性・リンとの約束の地へ2人は向かう。夢を捨てきれずピン芸人として活動を続ける雄介、会社員として働く光一の珍道中は、くだらない話で盛り上がったり、些細なことでケンカしたり、メイという少女(岡本)と出会ったり……そして2人はもう一度、人生を見つめ直していく。