借金2000万円を10カ月で完済! どん底から這い上がるのに必要なのは「勘違いの才能」【前編】

新刊著者インタビュー

公開日:2019/4/1

◆どん底は安定感ばつぐん。完ぺきなる無敵の境地

崎本 どん底って、沼地みたいに動けなくて苦しくて、怖いものだと思ってました。ところが、違ったんです。底にいくまでがフワフワして怖いんです。底にいくと、もう無敵。足が地面につきますもん。冷静になれます。「お金、ないですけど、なにか?」みたいな。開き直りと言うのかもしれません。自分では悟りの境地と思ってましたけど。劣等感も消えました。

――トップ営業マンよりブラックリストのほうが、劣等感がない!?

崎本 劣等感って、人との比較から起きる感情なんです。上を見たり、下を見たり。どん底にいくと、もう上も下も見えません。底だから。で、いよいよ「しゃーないわ」と思って、弁護士さんに相談に行きました。

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――自己破産ですか。

崎本 はい。書類にサインして、手続きも終わって。それで、帰ろうとしてドアを開けた時に、です。「いややーっ!!!!」と、心の奥底からでっかい叫びが聞こえたんです。「僕、一生負け犬で、一生アカンやつで、一生これを引きずって生きていくんか??」

 気がつくと「弁護士さん、いまの嘘です!」と叫んでました。「借金返します。僕はできるやつなんです。絶対返すから」。弁護士さんにめっちゃ怒られました。「何が嘘ですか。この書類、あなたの字ですよね? 印鑑証明も、ほら」…。でも、僕はその言葉をあんまり聞いてなかった。自分自身としゃべるのに忙しくて。

 俺は、どうしたいんや?…自信を取り戻したい。…じゃあ、どうしたらええねん?…稼いだらええんちゃう?…そやな。どうせ返すのが決まってるなら1年くらいでサクッと返済したらどう? そしたら伝説になるやん。その体験談でセミナーできるし、本も書ける。出版パーティの司会は、…いいかも。で、ベストセラーになって、漫画化されて、ドラマになって…映画になるんか。僕の役は明石家さんまさんにやってもらいたいな。僕もちょい役で出してもらおう。…あー、でも、セリフ覚えられへん。…いや、大丈夫や。新聞を読んでる役だったらカンペを隠せるし…よし。今までやったことないくらい、そうや、1億円くらい売り上げつくれば、借金返してもおつりがくる!

――過去にも1億円の売り上げ実績はあったんですか?

崎本 ない。

――妄想!?

崎本 はい。100%勘違い。だって、おかしいですよね。何年もかけてつくった借金を返せないから自己破産寸前なのに、急に「返すぞ」「どうせなら1年で」って。

◆すべては勘違いから始まる

崎本 僕、わかったんです。勘違いは才能だって。その後も請求書が来るわけです。電話も、電報も来ます。前はぜんぶゴミ箱に捨ててたんですね。でも、「ちょっと待て」と。「こんなに多くの人がわざわざ手間もお金もかけて、1か月に3通も4通も、飽きずに懲りずに連絡くれるってことは…僕が返せるって信じてくれてる証やん。これ、励ましなんなんちゃうか?」これもまぁ、勘違い。

 でも、そう思ってから、ぜんぶ封をあけて「応援ありがとー」「感謝ー」って書き続けたんです。「このエールに報いなあかんわ。よっしゃー」って。そっからです、上向いてきたのは。

――ちょっと待ってください。勘違いはいいこと?

崎本 いいこと。最高です。みなさんにも勘違いの才能、磨いてもらいたいです。

――勘違いは、恥ずかしいことでは?

崎本 結果を出せば勘違いじゃなくなります。有言実行の人だと賞賛されます。じゃ、どうやって結果を出すのか。勘違いからスタートするんです。これが、自分を超える究極の方法です。

 過去に経験していない結果を出すためには、勘違い、誇大妄想、絵空事、夢物語、どんどんすべきです。楽しい想像をすればいいんです。稼ぎたいなら、稼いでいる自分になったつもりで暮らす。成功したければ、成功者としてふるまう、しゃべる。すると案外、人からもそう見えたりします。

――それは昔の、自分をごまかすとか、よく見せるのとは違うんですか?

崎本 ぜんぜん、違います。どこかというと、「本当のところ、自分はどうしたいねん?」これを確実に決断してるかどうか。人の目とか、比較とか、何かをうめるためじゃなく、まったくフラットな状態で自分が望む未来を決めている。そして、自分はそれにふさわしいと信じる。セルフイメージです。

 セルフイメージを変えるのにてっとり早いのは、態度、ふるまい、しゃべる言葉を変えること。これならまったくお金をかけず、タダでできます。やる気になるのは結構、大変じゃないですか。でも、勘違いして、その気になれば簡単です。体が勝手に動きます。めちゃめちゃ楽しい未来に向かっているわけだから。

――そうはいっても、10カ月で2000万円の借金返済。心身ともにキツかったんじゃないですか?

崎本 確かに不眠不休でしたから、ちょっとおかしくもなっていたと思います。でも、これ、恐怖モチベーションじゃなかったんです。借金返したら自信を取り戻せる。1年で返したらヒーローになれる。しかも、仕事した相手が本当に喜んでくれて、それがまた嬉しい。お金が入ったら少額の請求からパーンと振り込んで、それも快感。

 昔の僕は、劣等感をごまかすとか、ぜんぶ恐怖が出発点でした。でも、変わったんです。「人からすごいと思われたい」から、「自分で自分をすごいと思いたい」と。自分をごまかすより、素の自分いたい。周りにチヤホヤされるより、本物でありたい。すると、どんなこともうまくいき始めました。うまくいかない時って、ちょっとズレているだけなんです。そのズレに気づくための言葉を、この本にたくさん書きました。

取材・文=深谷恵美 撮影=内海裕之

【プロフィール】
崎本正俊さん
株式会社Growup代表取締役、ブレインコミュニケーション協会代表。
1973年大阪生まれ。大手損害保険会社に代理店研修生として入社し全国トップ成績で独立。やりたいことがわからず、結果的に借金2000万円になる。自信を取り戻すために返済を決意して10カ月で完済。自分らしく生きること、他人の人生に本気になる生き方を伝える講師として活動。法人向けには、新人研修、営業研修、マネジメント研修を行う。