この癒やし効果はアニメだからこそ! 見たら絶対行きたくなる田舎が舞台の作品4選

マンガ・アニメ

2019/8/9

 毎日遅くまで仕事をして、満員電車に揺られながらようやく帰宅。そんな暮らしを続けていると、ふと緑豊かな自然が恋しくならないだろうか? そんな人には、自然描写の素晴らしい、田舎を舞台にしたアニメを見るのがおすすめだ。ここで紹介する4作品は、いずれも実在の土地や建物が舞台になっていて、聖地巡礼をすることもできる。どこも豊かな自然と美しい景色、そしておいしいものなどもあり、コアなファンならずとも観光に訪れたくなること間違いなしだ。

ニヤキュンの舞台は、のどかな島の町『からかい上手の高木さん2』

『からかい上手の高木さん 1』(山本崇一朗/小学館)

『からかい上手の高木さん』は、シリーズ累計700万部を超えるヒット漫画を原作に制作されたアニメだ。2018年1月~3月に放送された第1期『からかい上手の高木さん』が大きな反響を呼び、その人気を受けて、現在第2期『からかい上手の高木さん2』が放送されている。

 作品の舞台は、原作者の漫画家・山本崇一朗氏の出身地でもある香川県小豆島土庄町。この町ならではの海が見える坂道や、潮の満ち引きで道が現れたり消えたりする「エンジェルロード」といったスポットが、作品のオープニングや物語中に登場する。土庄町商工観光課が制作した『からかい上手の高木さん』の舞台探訪マップも用意されているので、ファンならば一度は足を運んでみたい。

 本作の魅力は、なんと言っても高木さんの思わせぶりな態度だ。主人公である西片は中学生の男の子。教室で隣の席に座っている同級生の女の子・高木さんは、授業中でも登下校中でも、ことあるごとに西片をからかう。しかも、そのからかい方はとてもドキドキするものばかり。間接キスを思わせたり、本命チョコを匂わせたり、異性を意識させるからかいを高木さんは仕掛けてくる。

 西片は高木さんのからかいに対抗すべくいろいろと策を講じるのだが、そのすべてが空回りし、結局高木さんにからかわれて赤面することになる。「高木さんめぇ…」と悔しがる西片と、それを笑いながら見ている高木さんのやり取りに、見ているこっちもニヤニヤしてしまう。そして、ときおり垣間見える恋心に、胸がキュンとなってしまう。『からかい上手の高木さん』は、「ニヤキュン」アニメとして、多くの視聴者をドキドキさせている作品だ。

 第2期では、西片と高木さんの関係が進展するのか否かに注目が集まっている。高木さんのからかいは単なるイタズラなのか、それとも特別な感情があるからなのか、2人の恋模様が気になる人は第2期からでもぜひ観てほしい。基本的に一話完結型なので、途中から見始めても問題なく楽しめるはずだ。

ザ・田舎のスローライフを味わうなら!『のんのんびより』

『のんのんびより 1』(あっと/KADOKAWA メディアファクトリー)

「ザ・田舎アニメ」と言っても過言ではない、“まさに絵に描いたような田舎”を楽しめる作品だ。どこかの山奥の集落が舞台のため、スーパーやコンビニ、商店街や娯楽施設は一切なく、あるのは豊かな自然と民家や分校、小さな駄菓子屋だ。

 大きな特徴は、その自然の四季折々の姿が描かれているところ。2013年に放送された第1期『のんのんびより』も、2015年の第2期『のんのんびより りぴーと』も、春から始まり、夏、秋、冬、そして再び春を迎えて終わる構成になっている。それぞれの季節で、桜や紅葉といった季節感のある情景を楽しめるのだ。このように『のんのんびより』は、背景美術に凝っている点にも注目してもらいたい。つややかに描かれた葉の隙間から零れる木漏れ日や川を流れる水に、癒やされるに違いない。そして2019年5月に第3期の制作が発表されたので、その放送前に作品に触れておいてみてはいかがだろう。

 また、作中に出てくる「旭丘分校(あさひがおかぶんこう)」のモデルになった埼玉県小川町にある「旧小川町立小川小学校下里分校」は現在、校庭が無料開放され、ほとんどアニメのままの建物を外から見学することができる。用務員棟を利用した「分校カフェMOZART」があるので、こちらで一息つくのもおすすめだ。

 物語は、そんな土地に小学5年生の女の子・一条蛍(いちじょうほたる)が引っ越してくるところから始まる。蛍が転校した旭丘分校の全校生徒は、語尾に「のん」を付けて話す小学1年生の宮内れんげ、ムードメーカーの中学1年生の越谷夏海(こしがやなつみ)、中学2年生だが身長が140cmと小柄な越谷小鞠(こしがやこまり)、夏海と小鞠の兄、そして蛍の5名だけ。田植えをしたり、満天の星を見に行ったり、タケノコ採りに行ったり、秘密基地で遊んだり、川に飛び込んだり…。蛍は都会ではできないさまざまな体験を通して田舎ならではのスローライフに溶け込んでいく。

田舎×魔女で描く、地元の人々との優しい交流『ふらいんぐうぃっち』

『ふらいんぐうぃっち 1』(石塚千尋/講談社)

『ふらいんぐうぃっち』の特徴は、舞台である青森県弘前市に住む人々のリアルな生活が描かれている点だ。畑で野菜作りをしたり、りんご農園でりんごの摘花をしたりと、その土地ならではの生活を感じるシーンやエピソードがいくつも登場する。地元では「ばっけ」と呼んでいる「ふきのとう」を天ぷらにして食べる場面も印象的だ。さらに、アニメを見ているときに思わず「え?」と言ってしまう津軽弁が出てくるのも面白いポイントだろう。さらに、日本一と言われる見事な桜並木が見られる「さくらまつり」や、観光名所の「弘前城天守」、弘前市のシンボルである「岩木山」など、弘前市の名所・名物も多く取り上げられている。

 本作は、魔女と青森県弘前市の人々との交流を描いた物語。主役の魔女・木幡真琴(こわたまこと)は、「15歳になったら独り立ちして家を出る」というしきたりに従い、黒猫のチトを連れて、青森県の親戚の家に引っ越すこととなった。引っ越し先の倉本家の圭や千夏、同級生の石渡なおといった、地元の人々と真琴とのゆるりとした交流と日常を楽しめるのが魅力だ。

 ちなみに、アニメを観た人が観光できるよう弘前観光コンベンション協会では「チトナビ」という専用の舞台めぐりマップを用意している。春に桜を見に行くもよし、夏の津軽三大火祭りの1つの「弘前ねぷたまつり」を見に行くもよし。聖地としてだけでなく、弘前市観光も楽しみやすくなっている。

里帰り気分になれる大家族と革新的な仮想世界表現『サマーウォーズ』

『サマーウォーズ』(岩井恭平/角川書店)

 もはや日本の夏の定番作品となった『サマーウォーズ』は長野県の上田が舞台。実は、一般社団法人アニメツーリズム協会が実施する全世界のアニメファンが選ぶ「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に2年連続で選出されており、今やワールドワイドに愛されている土地となっているのだ。作中に登場する建物は、祭りも多く行われている上田城・上田城跡公園がモデルになっているほか、その周辺では信州そばや温泉なども楽しめるとあって、観光地としての魅力もいっぱいの土地なのである。

 天才的な数学力を持つ小磯健二(こいそけんじ)が主人公の物語。高校2年の夏休み、先輩の篠原夏希(しのはらなつき)から「バイトしない?」と声をかけられる。引き受けた健二は、夏希の曾祖母が住む長野県に行くことになった。夏希は、曾祖母・陣内栄(じんのうちさかえ)との約束を守るために、「フィアンセのフリをして」と健二に頼み込む。健二は無理だと断るが、最後は夏希に押し切られ、総勢27名の大家族と一緒に夏希のフィアンセとして陣内家で過ごすこととなってしまった。そんなとき、世界中の人々が集うネットの仮想世界「OZ」で異変が起こり始めていた。その異変に立ち向かうべく、健二と陣内家の面々が立ち上がる。世界の危機を救えるか否かが、理系少年の数学力に委ねられた…。

 以上が『サマーウォーズ』の内容だ。本編115分のなかに、恋愛、仮想世界でのバトル、大家族との触れあいなど、多彩な要素が詰め込まれている。なかでも陣内家に集まった人物の巧みな描き方に注目してほしい。赤ん坊から曾祖母まで、総勢27名をそれぞれ個性的な人物として見事に描いているのだ。特に一堂が会しての食事シーンは、大家族ならではの賑やかな場面に仕上がっており、あたかも里帰りしたような気分を味わえるだろう。

 ここで取り上げた田舎を舞台にしたアニメに共通するのは、豊かな自然、打算のない人間関係、そしてゆったりとした時間の流れだ。都会暮らしでイライラしたときは、この田舎独特のゆるい時間をアニメで体験すると心が落ち着くかもしれない。作品を気に入ったなら、休日に聖地巡礼へ出かけて直に自然や地元の人と触れあってみるのもいい。ストレスで凝り固まった心もさらに解きほぐされていくだろう。

 最後に、もし実際に聖地巡礼へ行ったら、住民のみなさんに迷惑かけない、ゴミは持ち帰るなど、必ずマナーを守って観賞すべし。

文=木島祥尭