加藤浩次に「藁人形だよ!」とツッコまれ…手芸芸人・光浦靖子が見つけたものとは?

エンタメ

2017/5/6

『靖子の夢』(光浦靖子/スイッチパブリッシング)

 人気のお笑いコンビ・オアシズのメンバーであり、手芸作家としても活躍中の光浦靖子さん。手芸歴35年、45歳のシングルである靖子さんの夢は、「ばあさんになったら沖縄に住んでカフェを経営しながら自作のブローチを売ること」。そんな靖子さんの夢を綴った『靖子の夢』(光浦靖子/スイッチパブリッシング)は、写真集であり、作品集であり、エッセイであり、手芸本であるという見ごたえ、読みごたえのある一冊だ。

 靖子さんのブローチは大きい。羊毛フェルトで立体的に作られたモチーフの周りに、さまざまな素材のデコレーションがみっしりと施されている。斬新なデザインにカラフルな配色で、とてもチャーミング! 主張が強すぎるから服にはつけられないけれど、芸術作品として鑑賞したいような完成度だ。「ブローチの小さい丸は乙女の結界。あの丸の中くらい自由にさせてほしいんだ。一人のおばさんの乙女解放区なんだ」と靖子さんは語る。

 極楽とんぼの加藤浩次さんにプレゼントしようと、「トラ」と「プロレス」という加藤さんの好きなものをテーマにした、超立体的な「火の輪くぐりのトラ」のブローチを作ったが、「最高峰の藁人形だよ!」と 拒否されてしまった。むしろ幸せを願う千人針なのに、という靖子さん。好きな人に思いを込めて作ったら重いと困られ、子どもが喜ぶと思って作ったらそうでもなかった。「これからは誰かのためではなく自分のために作ろう!」「結婚も、子どもも、手に入れられたから幸せ、手に入れられなかったら不幸せなんていう単純なもんじゃない。手に入れてないから私は自由を手に入れた」。ポジティブになった45歳の作るブローチは、どのように進化していくのだろうか?

 靖子さん主宰の「ブッス!手芸部」で、ブローチ作りを習うのは、オアシズの相方である大久保佳代子さん、いとうあさこさん。アラフォー・シングル女性が、おしゃべりしながらブローチを作るひとときは、とても楽しそう。徳井義実さん、草野仁さんまで、豪華なゲストも登場する。

 本書ではブローチ以外にも、姪のために作ったという人形や、高い描写力で図鑑のような仕上がりの“沖縄の魚”のブローチ などが満載。とにかく才能豊かな女性なのだ。しかも浴衣姿や、沖縄の海で自作の水着を着た姿も披露しているが、肌がきれいでスタイルもいい!

 シンプルで素朴に見える文章には、読書好きで知られる光浦靖子ならではのテンポがありことばのスパイスが香る。彼女だけの「ことば」の世界は、なんともいえない味わいがある。60兆個の細胞に、じわじわと沁み入ってきて、気がつくと幸せな気持ちで満たされているのだ。手芸好きな人はもちろん、現在のこと、未来のこと、悩みが尽きない女性たちの最愛の一冊になるはずだ。

文=泉ゆりこ