「産みたくない人がいて、産みたい人がいて、それでいい」―わたしが子どもをもたない理由

出産・子育て

公開日:2017/5/29

「子どもを産むことは、義務でも務めでもない」―産まない選択をした著者が現代の価値観に一石を投じる『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』が、2017年5月22日(月)に発売された。

 以前、女優の山口智子が「子どもをつくらない人生を選択した。夫婦2人の生活はほんとうに幸せで、一片の悔いもない」と発言したことがニュースになったが、女性にとって「子どもをつくること」は、社会からの無言の圧力になっているのではないだろうか。

「自分のために生きる」と言うと「身勝手」と感じられるのかもしれないが、人生の道筋を決めるのも、責任をとるのも、結局は自分自身。「子どものいない人生を、責任をもって生きていく」と決めたなら、あとは自分の選択した人生をまっとうするだけ。他人にどう言われても、どう思われても、気にする必要はない。

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 60万部を超すベストセラーとなった『家族という病』の著者でもある下重暁子は、子どもをもたない選択をしながら輝く人生を送ってきた。同書は、そんな著者が「子どものいない生きかた」についてまとめたもの。結婚しても・しなくても、子どもをもっても・もたなくても、選択と決断の多い女性の人生。どんな生き方であっても、悩みは尽きない。

 同書では「自分のものさしで“淋しいでしょう”と言う人たち」「子どもがいるだけで善になってしまう不思議」「産みたくなければ産まなくていい」「養子という選択」といったように見出しをつけて、“女性の選択”における多様性とはなにかに迫っていく。

産みたくない人がいて、産みたい人がいて、それでいいではないか。ごくごく自然の出来事なのに、こんな当たり前のことがネットで炎上するのは、「女は子どもを産むもの」という刷りこみがあるからではないか。子どもをもつ・もたないは個人が決めることで、国が指示するようなことではない。子どもについても、個人の選択に任されるべきで、その人自身の生き方と関わってくる。はじめにより・一部抜粋

 最終章には子どもをもたなかった10人の男女による匿名インタビューも掲載。さまざまな悩みを抱える女性たちへのメッセージに、きっと誰もが前を向く力をもらえるはずだ。

下重暁子(しもじゅう・あきこ)
作家。日本ペンクラブ副会長。日本旅行作家協会会長。早稲田大学教育学部国語国文科卒業。NHKに入局。アナウンサーとして活躍後フリーとなり、民放キャスターを経たのち、文筆活動に入る。ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる。公益財団法人JKA(旧:日本自転車振興会)会長等を歴任。著書に、60万部を超すベストセラーとなった『家族という病』をはじめ、『持たない暮らし』『母の恋文』『「父」という異性』『老いの戒め』『若者よ、猛省しなさい』などがある。

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