おいしそうな江戸ごはん! 新撰組を「食」で描く『だんだらごはん』【作ってみた】

マンガ

公開日:2017/8/7

『だんだらごはん』(殿ヶ谷美由記/講談社)

 アニメや漫画、小説やドラマとあちこちで大人気の「新撰組」。老若男女問わずから人気を得ている彼らの活動においてはもはや語るまでもないだろうが、では、彼らが生きた時代、一体どんなものが食べられていたのだろうか。『だんだらごはん』(殿ヶ谷美由記/講談社)は、江戸の食文化に焦点をあてながら、等身大の新撰組を描く作品として今注目を集めている。

 そんな本作の中には、毎話必ず美味しそうな江戸時代の料理が登場する。そこで、漫画の中の料理描写や当時の料理本などを参考に、実際に作って、物語とともに紹介したいと思う。

■「たまごふわふわ」(第1話)


 1つめは、「たまごふわふわ」。沖田の師である近藤勇が、身分を理由に“講武所の教授方”の内定を取り消され、落ち込んで引きこもってしまっていた。それを知った沖田と山口が、近藤を元気づけようと作った料理。

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 味はシンプルな茶碗蒸しのような味わいで、何より食感が楽しいのが魅力。出汁に面している部分はつるっと、表面はふわふわとしていて、口の中でしゅわっと溶ける。作中で、食欲をなくしていた近藤が美味しく食べていたのも頷ける。

■「イカのかぴたん和え」(第5話)


 2つめは、「イカのかぴたん和え」。試衛館の面々が江戸を離れる前に宴会をしようと開いた「決起集会」。みんなで美味しいものを持ち寄ろうという話になり、永倉新八が持っていったのはイカだった。そしてただ焼くのでは面白くない、と、この「かぴたん焼き」を作ろうと提案した。

 まずはイカのゲソを酒と醤油で煮る。あとは小麦粉をまぶし、ごま油でカラッと揚げれば完成。イカは揚げると油がはねるので、注意が必要。水分をしっかりふきとって、比較的低い温度の油に入れるとはねにくい。

 味の染みたイカに衣とごま油の香ばしさが加わって、絶品。お酒のおつまみにもぴったりだ。イカを煮た出汁にはイカの旨みが溶け出しているので、それを使って炊き込みご飯を作るととても美味。調理の光景は至って平和に描かれているが、沖田たちが持ち寄ったこれらの食材を調理している最中、山口は大変なことに巻き込まれていた――。

 新撰組ファンも、食文化が気になる人も、美味しいものが好きな人も、みんなが楽しめる本作品。待望の最新刊2巻は8月7日発売。これから一体どんな料理が登場するのか、そしてどんな展開になっていくのか楽しみだ。

調理・文=月乃雫