「話がわかりにくい人」の残念な特徴とは?

ビジネス

公開日:2018/1/29

『2軸思考』(木部智之/KADOKAWA)

■ピラミッド構造でコミュニケーションの質が変わる

 よく「この人の話、わかりにくいな」と感じる人がいますよね。
 たとえば、「関西地区の売上はどうなっている?」と聞くと、「残念ながら下がっています。福岡県や愛知県も下がってきています。一方、客足が伸びているのは横浜です」と答えるような人です。
 地区の売上の話をしているのに、県や都市レベルの話が混ざっており、聞いているこちらとしては混乱してしまいます。

「私は大丈夫だよ」と思うかもしれませんが、会議などのプレッシャーが大きい場面ほどこのような話し方をしてしまう人が多いのです。これは、話す人が情報を「構造化」できていないために起こります。
 逆に、情報が構造化されていると話が上手く感じられます。

 話をするときの構造として使えるのが、「ピラミッド構造」です。
 私がコミュニケーションの苦手なメンバーを指導するときは、必ずピラミッド構造から教えています。そうすると、コミュニケーションの効率、質が劇的に変わってくるのです。

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■「ピラミッドのどの部分を話しているか」を意識する

 ピラミッド構造というのは、たとえば図のようなもの。


 ピラミッドのタテ軸は、
・「Whyso?(○○すべきです。なぜなら~)」(上から下)
・「Sowhat?(~なので、○○すべきです)」(下から上)の2つを表現しています。

 一方、ヨコの方向には同じ「階層レベル」の情報を並べていきます。「関西」があるなら、それと同列のヨコには「関東」や「九州」がある。そして、「関東」をタテに深掘りすると「東京」「神奈川」があるという構造にするのです。

 このように、話す対象についてピラミッド構造を意識することで、自分が伝えたいことの「全体像」を捉えられるようになります。

 ここまで来れば簡単で、あとはピラミッドの「どの塊」を伝えるかを決めるだけ。
「塊」と書いた通り、ピラミッドの箱ひとつだけを伝える必要はありません。複数の箱をまとめて話すこともありますし、ひとつの箱をていねいに話すこともあるでしょう。「全国」から「関東地区」「横浜」とタテに一気に深掘りすることもあれば、「関東地区」「関西地区」「九州地区」というようにヨコの行を並列に述べるのが有効なときもあります。

 いずれにしても大事なことは、「いま自分はピラミッドのこの部分を話している」ということを意識して話を進めること。
 そうすれば話がわかりやすくなり、「話が上手い人」になるはずです。

木部 智之(きべ ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBM にシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝 撃を受け、自分はグローバルに通用する人材なのかと自問自答した。 それ以来、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求してきた。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』(いずれもKADOKAWA)がある。