蜂蜜ファンタジー最新巻! 仙道とまゆの関係が大きく変化し、シリーズ最大の佳境へ

文芸・カルチャー

2018/5/14

『利き蜜師物語4 雪原に咲く花』(小林栗奈/産業編集センター)

 大人気ファンタジー小説の最新刊・最終話『利き蜜師物語4 雪原に咲く花』(小林栗奈/産業編集センター)が5月17日に発売される。「利き蜜師」(ききみつし)とは蜂蜜の専門家であり魔術的能力を持った「術師」のこと。国家に認定された「利き蜜師」の最高位「金のマスター」である穏やかな青年・仙道遥(せんどう・はるか)と弟子のまゆが、その力を用いて、空想的で不可思議な事件を解決していく。

 前巻では「月の古都」を舞台に、まゆが、世界を襲う不治の病「トコネムリ」をもたらす存在とされる銀蜂の王「銀黒王」と急接近。さらに、「銀黒王」を操る真の黒幕が存在して…という、物語の佳境を感じさせる終わり方となっていた。

 そして最新刊…物語は大きく動く。まゆと仙道の仲睦まじい師弟関係にも大きな変化が起こる。「不器用だけど一生懸命な少女のまゆと、その成長を見守る優しい師匠の仙道」…という2人の関係が好きだった読者にとっては、衝撃的な展開になるかもしれない。

 さて、あらすじを。

 本巻は、仙道とまゆが暮らす穏やかな田舎の村「カガミノ」から物語が始まる。真冬が迫る、ある平穏な日に、利き蜜師協会の会長モンクと付き添いのグレアムがやって来た。

 2人はまゆを「利き蜜師」に認定するため、村を訪れたのだった。「年齢が若すぎる」と仙道はまゆが「利き蜜師」になることを反対したが、会長のモンクたちには何やら思惑があるようだ。また、まゆ自身が「利き蜜師」になることを望んだこともあり、認定試験を受けるため、協会のある都市ハオプトシュタットに向かうことに。

 まゆの目的はひとつ。「利き蜜師」になることではなく、仙道にかけられた「不死の呪い」を解くことだった。外見は20代後半と若い仙道だが、実際は100年近い年月を生きている。まゆは敬愛する師匠のため、この呪いの心理に迫ろうとするが、協会内部での権力争いに巻き込まれてしまう。

 モンク会長をよく思っていない勢力が存在し、また、まゆが敵である銀蜂と「守り蜂」の契約を結んだというウワサが流れ、まゆ自身にも危険が及ぶことに。

 一方、カガミノでまゆの帰りを待つ仙道にはかすかだが確実な不調があらわれ始めていた。

 仙道は不死の呪いによって長く生きてきた自分の死期が近いことを悟る。

 カガミノの村の青年、イリヤの手助けなどもあり、まゆはなんとかカガミノに戻って来ることができたのだが、安心したのも束の間、カガミノは新たな危険に見舞われる。奇病「トコネムリ」が瞬く間に流行り村人たちは次々と倒れていく。さらには「銀黒王」を操っていた、真の敵が遂にその姿を現したのだった。

 息つく暇のない怒涛の展開に、まゆは、仙道は、どう動くのか? 仙道の不死の呪いは解けるのか。「黒幕」との決着はいかに。そして、仙道の命は…!! 

 2、3巻では、新しいキャラクターが登場し、彼らを中心にまゆや仙道が関わっていくというストーリー展開が多かったのだが、今回はまゆと仙道にしっかりとスポットライトが当たる展開となっていたのがうれしい。

 冒頭でも述べた通り、この2人を応援していた読者にとっては、悲しさを感じるかもしれない「大きな変化」を迎える本作。だが、それは悲しさだけではなく、2人の「新たな一歩」を感じさせるものでもあった。

 またひとまわり大きくなったまゆと、新たな一面を見せてくれる仙道。2人の物語をぜひ堪能してほしい。

文=雨野裾