「アップル信仰は宗教?」身近な大企業に隠された“別の顔”

ビジネス

2018/8/24

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ/東洋経済新報社)

 この1週間の間にグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのサービスをどれもまったく使わなかったという人は少ないのではないだろうか? 検索やブラウザ(クローム)やOS(アンドロイド)でグーグルを使い、Macやタブレット端末、iPhoneといったアップル製品を持ち、アマゾンで買い物をして、SNSはフェイスブックやインスタグラムを利用している…といった具合に。

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ/東洋経済新報社)で著者は、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとって4社をGAFAと呼び、世界を支配し創り変えた四騎士と称している。「騎士」とはいうものの喩えられているのは、ヨハネの黙示録に登場する剣、飢饉、悪疫、獣で人間を殺す四騎士だ。一見ひどい喩えに面食らうが、四騎士がなぜこれほどの巨大企業になり得たのか、いかにして世界を支配するに至ったのか、読み解くヒントがここにありそうだ。

■四騎士の素顔をひと言で要約すると――

 本書前半では1社につき1章ずつ、四騎士の成功要因や競合をどう排除してきたか、また現在抱えている課題を説明する。巷にあふれている書籍やコラムをコンパクトにまとめたもの? と思いながら読み進めていくと、著者は四騎士に対して意外にも手厳しいことが分かる。各章のタイトルで四騎士をそれぞれひと言で表現しているが、著者のセンスが光るタイトルだ。 

・アマゾン「1兆ドルに最も近い巨人」
・アップル「ジョブズという教祖を崇める宗教」
・フェイスブック「人類の1/4をつなげた怪物」
・グーグル「全知全能で無慈悲な神」

 中でもフェイスブックに対しての指摘はとりわけ厳しいようだ。アメリカ人の44%がニュースをフェイスブックで見ているそうだが、フェイスブックは自社をメディア企業とは認めておらず、メディアの果たすべき責任(例えば、差別的なフェイクニュースの取り締まりやヘイトクライムへの対応など)を放棄していると著者は考えている。

■GAFAに続く第5の騎士は誰?

 第9章「NEXT GAFA 第五の騎士は誰なのか」では、四騎士に続く“第5の騎士”になり得る企業について論じている。計11社取り上げているが、中ではテスラとエアビーアンドビーの総合評価が高いようだ。

 また、第10章「GAFA『以後』の世界で生きるための武器」は、経営者でなくても読み手の多くにとって非常に意義深いだろう。経営大学院(ビジネススクール)の教授として数多くの学生に教え、また自身の興した会社でも若い世代の人材をよく見ていると思わせる記述だ。

 著者が“武器”として挙げるものは、「個人が成功するために必要な内面的要素(心理的成熟、好奇心、当事者意識)」といったメンタル面の要素から「自分のキャリアをよく見せる」「株と計画」「会社とは『連続的単婚』を心がける」「あなたのスキルを評価してくれるところに行く」まで、まるで具体的な人生指南のようだ。自分自身をより良くしたいと願う人、ぼんやりした不安を感じているが何をしたらよいか悩んでいる人、また世の中の変化に取り残されたくないと思っている人にとって、おすすめと言える。

 最後に「あなたは起業家向きか」という起業家でもある著者ならではの問いかけもあり、起業したいと思っている人には大いに参考になるだろう。

文=滝川 有紀