あなたはその言葉に「誰」を思い出す? Twitterで大人気、何度も読み返したくなるエモい言葉

恋愛・結婚

2018/9/4


 Twitterをしている人なら「白い文(@shiroifumi)」というアカウントをご存じの方も多いのではないだろうか?
 等身大の女性のリアルな感情をそのまま言葉にしたことで大きな反響を受け、今や40万人を超えるフォロワーを持つアカウントだ。

 はやりの背中を押してくれる優しい言葉ではない、自分に都合のいい言葉でもない、逃げ道を探すための言葉でも、誰もが納得できるようなありきたりな恋愛論でもない、それでも多くの女性の共感を得られるのは、そこに包み隠していた「自分」がいるからだ。その言葉で思い起こした「誰か」に向き合う「自分」がいるからだ。自分でも気づかなかった孤独感と儚さを前に、寂しさを誘発する言葉が心に刺さり抜けないのだろう。

 そんな影響力のある「白い文」だが、これまで一切のメディアに登場しておらず、SNS上だけの謎の人物だったが、ついにこの度、「浮谷ふみ」名義にて『この夜の寂しさで私は熱を知ってしまう』で作家デビューを果たした。
著者自身の人物像は明らかにされておらず、「白い文」の中の人物が「浮谷ふみ」というネームであり、夜の海とツナ缶が好きということしかわかっていない謎に包まれた存在だ。

 今回の書籍では、読者目線で孤独感の中より憧れ、出会い、恋、すれ違い、別れ、そしてまた独り、と各章が連なり自分を見つめ直していくストーリ仕立ての展開となっている。各章には著者の創る独特の世界観がツイッターの文字数制限を排除した形で散りばめられている。本の一部を紹介しよう。

この日々を思い出す頃、
それで良かったのだと
誰のことも責めない情があることを知っている。
結局のところ離れたら
もう待つだけの一択であることも、
好きな人に好きだと
会いたい人に
会えることが
特別であることも知っている。

もう会わないほうがいいのかもしれない。
これから先。
離れることはあってもこれ以上近づくことはないと思う。
あなたを失望させて、
私は自分を嫌いになって無理に突き放し合って、
会わなければ良かったねと
思ってもいないことを口にしてしまうかもしれない。
だからもう会わないほうがいいのかもしれない。
私から消えてしまったほうがいいのかもしれない。
愛し合えないのなら早く。

何となく抱かれる。
誘われ断る理由もなかった。
誘われてもいないのかもしれない。
私が抱かれたさそうにしていたのかもしれない。
抱かれるしかなかったのかもしれない。
好きで好きでたまらなくて
だから側にいて断ることなんてできなかった。
この人との熱はこの夜と消えてしまうのかもしれないけれど、
あなたがこうなりたかったのなら仕方ないのだと思った。

かかってきても出ないために電話番号は残した。
人伝てに聞くあの人の噂は何一つ信じない。
もらったイヤリングはどこにいったのかも分からないまま探してもいない。
思い出はあるけれど、それは新しく増やしていくから引っかからない。
ふとした時にあの人と身を寄せ合っていた事実は匂いとか
不意に見つかる写真が連れてはくるけれど慣れた。
ずっと会わない約束をしたのだから、会わないために覚えておきます。
あなたも振り向かず何処かで誰かと何かを守りながら私を覚えておいてください。

 どの言葉にどのような感情を持つのかは、その人のこれまでの恋愛経験次第だろう。“あの日あの人に言いたかった言葉”であったり、“そんな恋の結末は悲しすぎるから嫌だ”というような、読者の過去でありこれからの恋愛観でもあったり。よって、この本は読者によって感想が変わっていくのが面白い。

 ベッドに倒れこむ1日の終わり、生活の中の非現実に飛び込む時間、感傷に浸る時間に「寂しさ」「独り」を感じながらこの本と向き合ってもらいたい。

文=岡村和紗