「発達障害の子どもを伸ばす言葉」とは? 口角を上げて笑顔で実践!

出産・子育て

2018/12/21

『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』(shizu:著、平岩幹男:監修/講談社)

『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』(shizu:著、平岩幹男:監修/講談社)は、「指示が通る」「言葉を理解できる」など、障害が比較的軽度の子を持つ親対象に書かれているように最初は感じたが、読み進めていくと決してそうではない。

 障害児を育てる親の苦労という面では、障害の重さに“軽重”はないと思う。よく喋る知的発達に遅れのない発達障害の子であっても、人間関係でつまずき茨の道を歩んでいる場合もある。片時も目を離せず神経が休まらない重い自閉症の子の親もいるだろう。それぞれの家庭が大変な思いを抱えながら日常生活を送っている。

「弱者に優しい社会は、すべての人が生きやすい社会」「障害児教育は教育の基本」と言われるように、障害児の子育ては健常児の子育てにも通じるものがある。書かれている項目すべてが、どの子どもにも応用できる内容で溢れていた。

 例えば…

 子どもが食べた後の食器を下げてくれたが、ガシャンと流しに投げた。こうなると大抵の親は「乱暴に置かないで」と言いたくなる。でも、子どもの気持ちになれば、ダメ出しされて「もう二度とお手伝いしたくない」となってしまうわけだ。あらさがしをしないで「食器を下げた」という良い行動、これを強化するため褒めることにまず徹すること。

 平均台の上でふらついて落ちる子。「お友達はできているのにどうしてあなたは出来ないの!」と言ってしまうと自信をなくすだけ。そうではなく、子どもが立っている位置から一歩先に親が手を置き、「ここまで来れるかな」とスモールステップを設け、出来たらすかさず褒めること。

 私の息子も自閉症なのだが、健常児と比べて運動会で皆と同じように競技に参加できない我が子を叱るのではなく、1年目は「運動会の日に欠席しないで登校できたことを褒める」、2年目は「競技に参加できなくても、観客席で見学出来たことを褒める」、3年目は「同じようにはできないけれど、競技に加われたことを褒める」と、やっていけばよかったわけだ。

 他の子と比べたら永遠に叱ってばかりいることになる。物差しはすべて我が子の過去と今。1時間前と今、昨日と今日、半年前と今日、1年前と今日といった具合だ。出来る子とばかり比較されるのは、オリンピックのマラソン選手と競走させられているのと同じで、親子とも疲弊してしまう。

 他の子と比べてダメ出ししたら、子どもには否定的な言葉しかかけられず親子とも笑顔でなくなる。この本には、ハッと気づかされることがたくさん書かれている。重度のお子さんには、ダイレクトには難しい課題もあったが、この本に書かれている基本姿勢を学んでいくとよいだろう。

 ただ、親が一生懸命になりすぎ療育者となってしまい、家庭がオアシスでなくなると子どもは辛い。子どもに働きかけるとき親が鬼の形相、活火山のようになってしまってはダメなのだ。口角を上げて笑顔で実践することがポイントだと著者も最後に述べている。

“発達障害の子どもを伸ばす”のタイトルの本だが、子育て中のすべての親に読んでもらいたい1冊である。

文=立石美津子