「論理的」ってこういうことだった! わかりやすく話すためのコツ

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公開日:2019/2/25

『「ロンリ」の授業:あの人の話はなぜ、わかりやすいんだろう?』(NHK『ロンリのちから』制作班:著、野矢茂樹:監修/三笠書房)

「あなたの話はイミがわからない」と人から言われたことがないだろうか。それは、あなたの話が「論理的」ではないからかもしれない。

 では、「論理的に話す」ためには、どうすればよいのだろうか。NHK・Eテレの番組『ロンリのちから』の内容を書籍化した『「ロンリ」の授業:あの人の話はなぜ、わかりやすいんだろう?』(NHK『ロンリのちから』制作班:著、野矢茂樹:監修/三笠書房)を見てみたい。

 本書によると、論理的に話すためには、まず「相手から自分の意見がどう見えるか」という視点をもつ必要がある。そのうえで、「自分の意見をはっきり」させ、「その根拠を筋道立てて説明する」とよい。

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意見と根拠。これを相手に分かるように筋道立てて説明すること。

 では、具体的なシーンに当てはめてみると、どのような話し方になるのだろうか。本書は次のような例を挙げている。

 自分が上司に「予算をあと10万円上乗せしてください」とお願いしたいケース。まず、先に示したように「相手から自分の意見がどう見えるか」を考えてみる。

「予算をあと10万円上乗せしてください」「なぜ?」と疑問が生まれる。

 この場合、「自分の意見」ははっきりしているので、「根拠を筋道立てて説明する」必要がある。

[意見]予算をあと10万円上乗せしてください。[根拠]あと10万円あればより確実なプロモーションを打つことができます。

 このようになる。ただ、「なぜ10万円なのか?」とさらに根拠を求めたくなる。おそらく、部下はこの後に「10万円でより確実なプロモーションを打てる根拠」を示していくことになる。

 この3つの流れで話すことが重要なのだが、とりわけ大切なのが、3つ目の「根拠を示す」ことだ。案外、この「根拠」が欠落していることで、議論が議論にならないケースがある。水かけ論だ。

Aさん「なんで? ◯◯のほうがいいよ」
Bさん「違うよ。△△のほうがいいに決まっている」
Aさん「いや、やっぱり◯◯だよ」…

 互いの意見ははっきりしているが、根拠が抜け落ちている。「相手から自分の意見がどう見えるか」を意識すれば、根拠が必要であることに気付けるかもしれない。

 やっかいなのは、権力をもっている人、声が大きい人、威圧的な人の意見は、根拠が抜け落ちていても通ってしまう場合があること。本書はこれを「ニセモノの説得力」としている。顧客の苦情や、聞き流したほうがいい上司の言葉などは別の場合があるが、相手に合わせるわけにはいかないシーンでは「ニセモノの説得力」を攻略する必要がある。

 本書によると、「ニセモノの説得力」を攻略するためのポイントは2つある。

 1つ目は、相手の発言が独断的ではないかと疑うこと。そして、独断的であれば、どうしてそう発言するのか、根拠を尋ねる。2つ目は、相手が示す根拠がこじつけでなく、きちんと根拠になっているかどうかを判断すること。根拠が弱ければ、さらに説明を求めていく。

 もちろん、声が大きい人、威圧的な人の前では萎縮してしまいがちなので、まずは相手に圧倒されず踏ん張らなければならない。

頭の中で相手の発言をふつうのトーンに、ふつうの声、ふつうの表情、ふつうの態度に、変換します。

 論理は、自分の意見を通すだけでなく、異なる意見の人と繋がろうとするときにも欠かせない。「論理的」に話せるようになることで、自分の世界がより広がるはずだ。

文=ルートつつみ