「とりあえずコレお願い」で動ける人と動けない人。「4タイプ」の性格統計学で人間関係の悩みを解決!

ビジネス

公開日:2019/10/16

『人間はたったの4タイプ 仕事の悩みは「性格統計学」ですべて解決する!』(稲場真由美/セブン&アイ出版)

 職場で誰かに仕事をお願いするとき、同じ言葉でも相手によって反応が変わることがある。「とりあえずお願いします」と指示をして、すぐに動いてくれるAさんと、「それじゃあ分からない」と反発するBさん。

「さっきは指示が適当すぎたかも」と反省して、今度は「この工程を…このような方法で…この日までにお願いします」と具体的に話してみる。するとBさんがすぐに動いてくれた一方、Aさんは「はあ、分かりました」と面倒くさそうに返事をする。

 このような経験は仕事に限らず誰にでもあるはずだ。同じ言葉なのに、なぜ受け取り方が違うのだろう? なぜ思いが伝わる人と伝わらない人がいるのだろう?

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 その理由は、『人間はたったの4タイプ 仕事の悩みは「性格統計学」ですべて解決する!』(稲場真由美/セブン&アイ出版)で解説されている。先にズバリ結論を述べると、人間は4つの性格タイプに分かれ、それぞれに合わせたコミュニケーションのコツが必要なのだ。

 本書でそう指摘するのは、延べ12万人のコミュニケーションの傾向を記録して分析し、統計データから「性格統計学」を独自に考案した稲場真由美さん。本書のエッセンスをつかめば性格タイプに合わせたコミュニケーションが可能になるので、仕事だけじゃなく、家族や知人など人間関係全般の悩みが軽減されるだろう。

■「性格統計学」から見た4つのタイプ

 稲場さんが考案した「性格統計学」は、人間を2つの軸で切り分け、4つのタイプに分類する。

 1つ目の軸が、物事を考えるときに「自分を優先するタイプか」もしくは「相手を優先するタイプか」。そしてもう1つの軸が、「目標や計画を立てて進めたいタイプか」もしくは「臨機応変に進めたいタイプか」。この4つに区切ったタイプを次のように呼ぶ。

(1)自分を優先する、目標や計画を立てて進めたいタイプを「Logical(ロジカル)」
(2)自分を優先する、臨機応変に進めたいタイプを「Vision(ビジョン)」
(3)相手を優先する、目標や計画を立てて進めたいタイプを「Peace Planning(ピース・プランニング)」
(4)相手を優先する、臨機応変に進めたいタイプを「Peace Flexible(ピース・フレキシブル)」

▲本書45ページより

■「ロジカル」と「ビジョン」の特徴は?

 4つの性格タイプが分かったところで気になるのが、それぞれの特徴と見分け方だ。

 まず性格タイプの中で一番多いという「ロジカル」。彼らは計画を立てて進めたいタイプなので、どんな行動にもはっきりした目的があり、ペースを乱されるのが苦手だ。さらに情報を分かりやすく理路整然と話す特徴があり、相手から伝えられる情報も同様でありたいと願う。「だいたいでいいよ」といった、あいまいなコミュニケーションをストレスに感じやすい。

 一方、自分優先で臨機応変な「ビジョン」は、計画や固定観念にとらわれず、状況に応じて柔軟に動きたいタイプ。ある意味天才肌が多く、直感的なひらめきによる言動が目立つ。だから「規則で決まっていますから」といった言葉は苦手だ。

■人の和を大切にする「ピース」と性格タイプの見分け方

 相手を優先する「ピース・プランニング」と「ピース・フレキシブル」は、波風立つことを避けたがる。チームワークを乱す言動、他人と比較されたり競争させられたりする言動に敏感に反応するので、「あの人はできていますよ」「負けないように頑張りましょう」といった言葉が苦手。まさしく「ピース」だ。

 そして同じピースでも、それぞれ計画的な「プランニング」と臨機応変な「フレキシブル」な一面を持っている。「ピース・プランニング」は、スタートとゴールの整合性が取れているかを気にする。さらに「筋が通らないこと」には決して譲らない頑固さを持つ。「ピース・フレキシブル」は、4タイプの中で一番柔軟に動ける。「なんのために」「誰のために」といったことが分かると、相手のためにとことん動けるそうだ。

 本書では「ひと目でわかるタイプ別のリアクション」のイラストを掲載している。ロジカル・ビジョン・ピースの喜怒哀楽の表情が分かりやすくまとめられているので、あなたの周りにはどんなタイプの人がいるか観察してみるといいだろう。イメージ的には、大きなリアクションをとるのがビジョン、反対に薄いのがロジカル、その中間がピースのようだ。

▲本書58~59ページより

■4タイプでこんなにコミュニケーションが違う

 さて、4つの性格タイプを理解したら知りたいのが、彼らとの適切なコミュニケーションだ。ここからが「性格統計学」のキモにあたる。本書では、「伝え方上手になる」と「受け止め方上手」の2つの章で、人に情報を伝えるときのコツと、人から情報を伝えられたときのコツについてアドバイスを送る。

 たとえば誰かに何かをお願いするとき。ロジカルはあらかじめ具体的にはっきり指示すると、きっちり対応してくれる。一方、ビジョンは大枠の情報だけで動いてくれる反面、事細かく指示されるのは苦手。間違ったら困る部分だけ説明して、あとは信じて任せよう。

 一方、ピース・プランニングとピース・フレキシブルは、相手を優先して動くタイプ。お願いする理由や経緯をきっちり説明してあげると、気持ちよく動いてくれるそうだ。

 本書はさらに、ある性格タイプからお願いを“された”とき、また別の対応が必要になることを説く。このテクニックは、まさに目からうろこだ。本書を読み進めるほど、性格タイプごとの個別対応が上手になり、対人ストレスから解放されるイメージがわく。

 人に個性があり、相手によって違うコミュニケーションが求められるのは当然。本書はそこで生じるストレスを和らげる方法を分かりやすく解説しているので、人間関係に疲れたときは解決のヒントとしてぜひ役立ててほしい。

文=いのうえゆきひろ