国語や道徳の教科書でお馴染み光村図書から、ヨシタケシンスケの絵本が登場!

文芸・カルチャー

公開日:2020/1/3

『なんだろうなんだろう』(ヨシタケシンスケ/光村図書出版)

 今や新刊を出すごとに注目を集め、そのすべての作品が大人気となる絵本作家ヨシタケシンスケさん。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)から始まり、『りゆうがあります』(PHP研究所)、『もう ぬげない』(ブロンズ新社)などの人気絵本を連発し、『あるかしら書店』(ポプラ社)のような読み物や『ヨチヨチ父 とまどう日々』(赤ちゃんとママ社)といった育児本など、どんどん人気の幅を広げています。

 そんなヨシタケさんの最新刊は、なんと国語や道徳の教科書で有名な光村図書から! 『なんだろうなんだろう』(光村図書出版)というタイトルのこの絵本は、光村図書が出している小学1年生~小学3年生の道徳の教科書のコラムにかき下ろしを加え、一冊にまとめたもの。日常の中にある「当たり前」に改めて焦点を当て、その正体を探ってみよう! というヨシタケさんらしさ溢れる一冊です。

 例えば、学校に向かう途中の男の子がふと考えた、「『がっこう』ってなんだろう」「『たのしい』ってなんだろう」「『うそ』ってなんだろう」という3つの“なんだろう”。普通に考えたら、学校は勉強するところだし、楽しいは感情だし、嘘は事実と異なることを話すことです。

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 でも、そこを深掘りするのがヨシタケさん。「がっこう」ひとつとっても、「ランドセルで いくところ?」「つい わすれものをしちゃうところ?」「いままで したことないことを するところ?」「じぶんと ともだちの おなじところや ちがうところが みつかるところ?」と次々と“なんだろう”が繰り出されます。そこには、思わずクスッと笑ってしまうものから大人でも考えさせられる深いものまで様々な視点があり、子どもでも読める自己啓発本のような奥深さを感じます。

 この男の子のほかにも、小学生の女の子や、中学生と思われる男の子と女の子、その他多くの人たちの“なんだろう”が描かれます。きっと、考えるたびに答えが変わってくる、死ぬまでいろいろな形でつきまとう“なんだろう”。この『なんだろうなんだろう』を家に1冊置いておくだけで、家族みんなの「自分を見つめ直すきっかけ」になるはず!

文=きこなび(月乃雫)