子どもに「AI」を説明できる? 大人も一緒に学べる絵本がフィンランドからやってきた

出産・子育て

公開日:2020/3/28

『ルビィのぼうけん AIロボット、学校へいく』(リンダ・リウカス:著、鳥井 雪:訳/翔泳社)

 インターネットとスマートフォンが当たり前の時代になり、今度はAI(人工知能)が当たり前になろうとしている。これから育っていく子どもたちはそれらを日常風景として受け入れていくが、いずれも利用方法を誤れば危険に身を晒すことになる。

 かと言って、大人の私たちが進歩し続けるテクノロジーとの正しい付き合い方を子どもたちに教えてあげられるかというと、そうとは限らない。例えば、AIと倫理について(そもそも何が問題かも含めて)子どもに理解できる形で説明できるだろうか。

 日本でも4月から小学校でプログラミング教育が必修化し、リテラシーを高める教育が続々と始まっている。しかしながら、教員ですらどのように授業を行えばいいのか試行錯誤が続くと思われる。だからこそ、子どもたちは家庭でもテクノロジーとどのように付き合えばいいのかを学ぶ必要がある。そしておそらく、大人も一緒に学ばなければならないだろう。

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 そういうときに何を頼ればいいのか。今回は翔泳社から翻訳書が発売されている絵本シリーズの最新作『ルビィのぼうけん AIロボット、学校へいく』を紹介したい(対象年齢は6、7歳)。

大人も知らないAIの仕組みを学ぶ

 同シリーズはフィンランドのプログラマーで作家のリンダ・リウカスさんが手がける知育絵本で、第1作はプログラミングをテーマとした『ルビィのぼうけん こんにちは、プログラミング』。第2作としてコンピューターの仕組みを取り上げた『ルビィのぼうけん コンピューターの国のルビィ』、第3作としてインターネットの構造を解説した『ルビィのぼうけん インターネットたんけん隊』が刊行されている。

 3月24日に発売となった最新作『ルビィのぼうけん AIロボット、学校へいく』では、題名どおりAIとロボットが取り上げられている。昨今はニュースでもAIが話題に挙がるようになったものの、AIがどんな仕組みで動き、どのように役に立つのかを理解できている人は多くないだろう。もしあなたがAIはよく分からない、怖いものだという印象を持っているとしたら、本作を通してその認識は一変するはずだ。

 本作は主人公・ルビィの友達であるジュリアが所有(?)するロボットにAIが搭載されているという設定で、AI(ロボット)とどのような距離感で付き合えばいいのかが描かれていく。リンダさんは「未来のAIは犬のようでしょうか、それとも幽霊、友達、助手、はたらきバチ?」と問いかける。しかし、その答えは本書や今後の経験を通して子どもたち自身が見出すものだ。それは大人も、かもしれない。

物語を楽しみ練習問題で深く理解する

 物語は、ルビィが退屈そうなロボットを学校に連れていくシーンから始まる。AIはさまざまなデータを受け取ることで学習し、よりよい判断をしたり何かを作ったりするので、ルビィたちはどんどんロボットにいろんなことを教えていく。

 計算が得意なロボットはすぐにサッカーの名選手になるが、直後におままごとに誘われると、ぬいぐるみをボールと思って蹴ってしまう。このあたりに人間とAIの学習方法に根本的な違いがあることに気づくだろう。一方で、AIがけっして不可思議な力で動いているわけではないことも理解できる。AIは単なるプログラムであり、使い方や接し方によって毒にも薬にもなるものだ。

 本書の後半には物語を通してAIを知った子どもたちが、より深くAIの特性や特徴を学べる練習問題が31問も収録されている。やや難しい内容の問題もあるので、ぜひ大人の方と一緒に読み進めてもらいたい。きっと子どもたちと同様に「AIってこんな仕組みだったんだ」と好奇心が満ちる感覚を味わえるだろう。