新型コロナにかからないようにするには? ウイルスと共存するニューノーマル時代を生き抜く賢い行動

健康・美容

公開日:2020/6/21

『どうする!? 新型コロナ』(岡田晴恵/岩波書店)

 新型コロナウイルス感染症COVID-19が、2019年12月に中国で最初に確認されてから約半年。新しい生活様式やニューノーマルな働き方が推奨され、コロナと共存するステージに移行したことを少しずつ実感させられるような日々が始まっている。
 
 私たちはこれからどのように振る舞い、対策していけばいいのか。そのヒントがつまっているのが、『どうする!? 新型コロナ』(岡田晴恵/岩波書店)だ。著者は感染免疫学やワクチン学を専門とする、白鴎大学教育学部の岡田晴恵教授。新型コロナウイルス感染症の基本的な予防法から自分や家族がかかったときの自宅療養時の対応まで、ウイルス学の専門家や臨床医からも情報を得て簡潔に解説されている。中でも改めて押さえておきたい、基本的な項目をご紹介してみたい。

Q.1 感染はどうやって起こりますか?

A.1 大きく、飛沫感染と接触感染が考えられます。
 
新型コロナにかかった人の咳・くしゃみ・鼻水などの飛沫から出た新型コロナウイルスが、直接、目・鼻・口の粘膜につくことで感染します。これを飛沫感染といいます。
 
感染者が、ウイルスのついた手で触ったところには、ウイルスが付着します。ほかの人がそこを触り、その手で目・鼻・口に触れると粘膜について感染します。これが接触感染です。

 さらに、空間中にウイルスを含んだごく小さな飛沫が漂う“エアロゾル”状態も感染の原因に。たとえば閉鎖空間は空気が停留するため、飛沫よりも小さいエアロゾルやマイクロ飛沫の状態でウイルスが漂っている場合があり、それを吸い込むことで感染する場合もあるとのことなので注意したい。

Q.2 どうやったらかからないようにできますか?

A.2 感染から身を守るには、(1)人混みを避ける、(2)手洗いが基本です。(3)マスクとメガネの着用、(4)喉の粘膜を守るうえでの適度な保湿(50~60%)と、さらに空間のウイルス濃度を低減させる目的での積極的な室内の換気も有効です。

 感染者に遭遇する可能性が高くなる人混みはできるだけ避けて、こまめな手洗いを励行し、大きな飛沫を防いだり喉を保湿するためにマスクを着用し、室内の換気も積極的に行うことは大前提。さらに目からの感染をガードするためにはメガネをかけて保護するのも有効とのことなので、心配な人はダテメガネやゴーグルなどで対策を。

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Q.3 そもそも、新型コロナウイルスとは何ですか?

A.3 それまでは動物の間で感染していたものが、人に感染し、人から人へと感染するように変化したウイルスを「新型ウイルス」といいます。今回はコロナウイルスでしたから「新型コロナウイルス」です。
 
これまでに、人から人に感染する「コロナウイルス」という種類のウイルスは、6種類見つかっていました。7種類目が今回の新感染症COVID−19を発症させるSARS-CoV-2です。
 
コロナウイルスはアルコール(濃度70%)消毒などで感染力を失うことが知られています。

 今回の新型コロナウイルスは潜伏期間が長く、また潜伏期間中も感染力をもち、無症状の感染者も人に感染させる可能性があるほか、体外での生存期間が長い(ドアノブなどの金属やプラスチックに付着して最長9日間生存したとする研究も)などの特性がある。そして抗ウイルス薬もワクチンもまだ存在しないのが現状だ(本書2020年4月時点の記述より)。

 岡田教授は本書で“もしかすると、ほとんどの人が感染するか、ワクチンで免疫をもつかした何年か後には、この新型コロナウイルスは人の社会に定着しているかもしれません”と予測している。

 ちなみに本書の企画がスタートしたのは、イベント自粛要請が出された2月末。まさに新型コロナウイルス感染拡大のさなかに製作が行われた。担当編集者の猿山直美さんに製作裏話をたずねてみると、いつもとは異なる環境下での作業状況がうかがえた。

「思っていた以上に感染拡大と状況の変化が速かったために、校正段階での修正が想定以上に生じ、またそれらを短時間で事実確認しなくてはなりませんでした。原稿と校正をスピーディーかつ確実に仕上げるためには、やはり対面で“鼻をつき合わせて”相談するのがいちばんです。
 
そこで岡田先生との打ち合わせは、天井が高くてテーブルも広く、席と席との距離がかなりとられているセルフサービスのカフェを選んで行いました。毎回先生がおいでになる前にテーブルはしっかりアルコール除菌して準備を整え、互いにマスクをして距離を取り、顔が正面で差し向かいにならない位置に座って注意深くやり取りを行いました。
 
しかし、状況の変化とともに外での打ち合わせが徐々に難しくなり、校正作業は場所を選びました。岡田先生は“ウイルス学者は、ペットボトルの口飲みはしないんですよ”と、常に紙コップを使って飲み物を飲まれ、また持参されるお菓子は必ず個包装のものであり、慎重に日常生活を送られている様子でした。
 
私自身も、本書の編集に携わることでこのウイルスの予想以上の感染力の強さや毒性を知り、市中に出ることに“恐怖”を覚えました。先生も激務の中骨身を削ってくださり、おかげで予定どおりに刊行できてほっとしています」(猿山さん)

 私たちは今後も新しい生活様式を模索し、状況に合わせてそのつど行動の見直しを図らなければならないのだろう。本書はその際の基本に立ち返る、大切な足がかりとなるに違いない。

構成・文=タニハタ マユミ