「本当にやりたいこと」に出会っていないあなたに。人生のモヤモヤから解放される2つの方程式

ビジネス

公開日:2020/8/7

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』(八木仁平/KADOKAWA)

「私、やりたいことが特にないんです…」
社会人になってOB訪問を受けるようになり、こんな声を聞く機会が増えた。とりあえず就職活動を始めてみたものの、自分がどんな仕事に興味があるのかわからないという。いわゆる「いい会社」に入った大学の同期も「こんなはずじゃなかった」と嘆き、3年経たずに転職する人もいる。どうして「やりたいこと」はかくも人を悩ませるのか。
 
 現代は、昔よりも「幸せ」への道がわかりにくい。いい大学でも就職ができるとは限らないし、いい会社と言われていても内情はブラックかもしれない。そんな時代に、私たちはどうやって「やりたいこと」を見つければいいのだろうか。『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』(八木仁平/KADOKAWA)によれば、「やりたいこと」は、なにも“運命の出会い”に頼らずとも、“論理”で見つけられるという。

選択肢と情報が多すぎる現代

 なぜ多くの人が「やりたいこと」で悩むのか。本書は、そのひとつの理由は選択肢が多すぎるからだという。かつては、取り得る選択肢も、手に入る情報も限られていた。だが、インターネットの発達とともに世の中は複雑性を増し、選択肢も情報量も爆発的に増えた。

 転職サイトのクチコミでは、年齢ごとの昇給幅やリアルな残業時間がわかるし、隠れ優良企業をみつけることもできる。また就職せず、YouTubeやnoteなどのメディア発信でサラリーマン以上に稼ぐ人も少なくない。私たちはいろいろなものが目に入りすぎ、決められなくなっているのだ。自分の中に判断基準がなければ、延々と迷い続けてしまう。

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「本当にやりたいこと」を見つける方程式

 著者は、本書で2つの公式を提示している。

(1)好きなこと×得意なこと=やりたいこと
(2)好きなこと×得意なこと×大事なこと=本当にやりたいこと

 好きなことは、「自分の情熱がある分野」と言い換えられる。本やインターネット、ファッションなど「もっと知りたくなる」というジャンルはないだろうか。筆者にとっては、書籍やアニメなどのコンテンツがこれに当たる。いくら読んでも苦にならないし、「どこがおもしろいのか?」「なぜ売れたのか?」といったことを考えるのも好きだ。

 得意なことは、「自然と人よりも上手くできて、やっていて苦がなく心地よいこと」だという。具体的には、勉強することや人と話すことなどが挙げられるだろう。筆者の場合、会話や文章で自分の考えを伝えることが得意だ。これを前述の「好きなこと」と組み合わせれば、書籍やアニメの良さを伝えるライター、という「やりたいこと」が浮かび上がる。

 最後に「やりたいこと」と「大事なこと」を掛け合わせると、「本当にやりたいこと」が見えてくる。「大事なこと」は、人生における自分なりの「価値観」といってもいい。例えば、「穏やかに暮らしたい」という価値観を持っている人は、いくら「やりたいこと」を仕事にしても、激務だと耐えられないかもしれない。見落としがちだが、これはあなたの「幸せ」を決める重要な要素だ。

 本書はこの基本公式に基づき、「好きなこと」「得意なこと」「大事なこと」――それぞれの見つけ方も丁寧に教えてくれる。その答えは、過去の自分の行動や、そのときの感情・感覚にある。どんな働き方をすれば、自分は幸せに生きられるのか。就活や転職など、あらゆる局面で「やりたいこと」で悩むあなたに、本書の考え方が届くことを願う。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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