人は生まれながらに9つの性格タイプに分けられる? CIAでも活用されている実践的性格診断

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公開日:2021/2/5

新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ
『新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ』(ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソン:著、高岡よし子、ティム・マクリーン:訳/KADOKAWA)

 仕事でもプライベートでも、人に頼ることが苦手だ。仕事で初歩的な内容を質問するのは恥ずかしいし、個人的な相談で誰かの時間を取ってもらうのは申し訳ない。どうやら、その根本には、「自分が無能であること」への恐れがあるようだ。本書『新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ』(ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソン:著、高岡よし子、ティム・マクリーン:訳/KADOKAWA)は、そんな自分でも気が付かない心の内を明らかにしてしまう。

 エニアグラムとは、人が生まれながらに持つ9つの性格タイプを分析し、その特徴や持っている可能性を教えてくれるものだ。海外ではビジネス、コーチング、カウンセリング、教育現場、CIAなど、さまざまな分野で活用されているという。人間の性格は環境にも影響を受けるが、エニアグラムは生まれ持った性質に重きを置く。本書は、エニアグラムの研究・実践の第一人者ドン・リチャード・リソ氏とラス・ハドソン氏が1999年に米国で発表したもので、日本でも2001年に刊行されている。“新版”は、内容を最新の情報や事例に改めた改定版だ。

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あなたは何タイプ?

 エニアグラムをめぐる旅は、自分の性格タイプを知るところから始まる。本書には、タイプを知るための簡易分類テスト「QUEST」と、より詳細に各タイプに当てはまるかがわかる「TAS」が載っている。初心者はまず5分程度でできる「QUEST」を試してみよう。性格タイプは、次の9つのものがある。

新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ

 本書でテストを行ったら、自分のタイプの解説を読んでいこう。きっと、とても共感できる小説の主人公に出会ったときのように、「なんでこんなにわかるんだ!」と驚くはずだ。人に頼るのが苦手な筆者は、「5.調べる人」だった。このタイプは、「強烈に思考する、理性的タイプ」。物質的な豊かさを求めず、時間の多くを自分の考えや興味の発展に費やそうとする。他の人ほど自分が物事をうまくこなせないと感じ、思考という安全な世界に「退却」するという…。これが「自分が無能であること」への恐れの正体だ。人に頼ることが苦手な筆者は、できないヤツだと思われるのが怖いのである。この本、おそろしい…。

開き直るのではなく、本質を見失わないために使う

 本書で自分の性格を知った後、日々の生活にどう生かしていけばよいのか。エニアグラムの誤った使用方法が「私は○○になって当然だ! だってエニアグラムが××タイプなんだから!」と自分を正当化すること。本書によれば、エニアグラムの意義は、性格がもたらす思考のバイアスに気づくことにあるという。自分が何かを感じたとき、それが「生来の性格からくるものではないか?」と疑ってみる。そうすれば、物事の本質を見失いにくくなるわけだ。

 本書には、各タイプの解説において、「成長を助ける実践」の項目が用意されている。筆者の「調べる人」であれば、「誰が自分を助けてくれるかを知性によって判断し、助けを求めてください」といった具合だ。各タイプの人が陥りがちな問題に対して、現実的にできそうな提案をしてくれるからありがたい。何か悩みを抱えているときは、まず自分の性格を見つめ直してみてはどうだろう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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