「これでいいのだ」パワーを与えてくれる “バカボンのパパ”の魔法の言葉/心が強い人は みな、「支える言葉」をもっている

暮らし

更新日:2022/7/20

 尊敬する人物を聞かれたとき、「バカボンのパパ」と答えることがあります。そう答えると笑いが起きるのですが、あながち冗談でもありません。

 私は小学校低学年の頃から『週刊少年マガジン』を読んでいました。『巨人の星』や『あしたのジョー』にド根性を学び、「特訓につぐ特訓だ! 灰になるまでやるんだ!」と気持ちを盛り上げる一方で、『天才バカボン』を読んでは爆笑していました。

 もちろん面白さの中心は、バカボンのパパです。

 漫画のタイトルは『天才バカボン』ですが、天才なのはパパのほう。なんでもかんでも「これでいいのだ」と肯定し、どんどん突き進んでいってしまいます。めちゃくちゃなことをやっては周りを巻き込み、おまわりさんが拳銃を撃ちながら追いかけてくるけれども、最後はみんなで笑います。

 天才にしかなしえない、ものすごいエネルギーの発露です。読んでいるこちらも巻き込まれ、笑わされてしまうのです。

 バカボンのパパは「~なのだ」と言い切ります。私はかつて『バカボンのパパはなぜ天才なのか?』(小学館)という本を出したことがあり、その中でバカボンのパパの魅力を、この「なのだ力」に見出し紹介しました。

「~なのだ」という断言は、自分の態度やポジショニングを明確にします。責任も生じる。だから多くの人は「~であると思われる」「~とも言えるかもしれない」「~みたいな」などと言って逃げを用意したくなるものです。ところが、バカボンのパパは、いつも断言する。肚が据わっているのです。

 その場その場の状況における自分の態度を明確にし、「これでいいのだ」「これでいいのだ」「これでいいのだ」と行動を加速していくすごさ。こんなに断定し、肯定し、突き進む日本人がほかにいるでしょうか。

 子どもの頃の私は腹巻きをしたり、てぬぐいを鉢巻きにしたりして格好をマネし、バカボンのパパのように生きてみたいものだと思ったものです。それ以来、矢吹丈や星飛雄馬のように生きることと、バカボンのパパのように生きることをいかに両立させるかというのが大きなテーマとしてありました。

現状を肯定して、前に進むエネルギー

 バカボンのパパの決めぜりふ「これでいいのだ」には、すごい力があります。

「これでいいのだ」と言うと、勢いがついて先に進める。自分を肯定し、状況を肯定して前に進むのです。肯定するからエネルギーが出ます。そして状況を好転させていくことができます。

「あのとき、ああすればよかった。だから自分はダメなんだ」「あの人があんなことさえしなければ、こうはならなかった」などと過去を引きずり、思い悩んでいるとエネルギーが出ません。同じところにとどまり、悪循環にはまってしまいます。

 自分は過去を引きずりがちだという人は、いまからでも遅くありません。『天才バカボン』を全巻読みましょう。やらかしちゃったことも「これでいいのだ」と肯定してみてください。私自身も、自分が過去にやってきたことに対して「ちょっとどうかな」と思うことはあります。でも、もう終わったことをとやかく言っても仕方ありません。「これでいいのだ」と言って肯定し、次に進むことにしています。

日本人にバカボンのパパ要素を加えれば、もっと良くなる

 本当にバカボンのパパのようだったら、迷惑な人だと思いますか? それはその通りです。大人がめちゃくちゃなことをして、全部「これでいいのだ」と言っていたら困った人です。でも、普通の日本人は「バカボンのパパのようになれ」と言ったって、そうめちゃくちゃできるものじゃありません。みなさん真面目でマナーがいいので、そこは大丈夫でしょう。ちょっと思い切ってアクションを起こしたり、何かチャレンジしたりして「これでいいのだ」と肯定する、そういう強さを身につけるとさらにいいと思うわけです。

 大学では、教職課程の学生たちにもそういうメンタリティーを身につけてほしいと思って授業をしています。教員を目指して学んでいる人たちですから、将来生徒たちの前に立ったときに、「ウケなかったらどうしよう」「あのとき失敗したのがショック」などと必要以上に思い悩むのでなく、堂々と話をしてもらわなければなりません。

 そこで、「芸人になって発表をする」という回を設けています。グループに分かれて、何か芸をしながら国語や世界史など教科の授業をしてもらうのです。このとき大切なのは、どんな発表をしても「これでいいのだ」と、みんなで拍手をすることです。

 発表して、ウケなかった、失敗したとなったらやはり落ち込みます。すべっていると感じたら、途中で逃げ出したくなります。それをどうやって乗り越えるか。「これでいいのだ」というある種の開き直りです。

 たとえば、ラップでフレミングの左手の法則を説明するというグループがありました。「YOー!」とか「チェキラ!」とか言いながら、フレミングの左手の法則の形を作り、電流と磁場、力に関する法則を説明するのです。見ているほうは拍手喝采。こういうのは開き直ってやったほうが面白いものです。

 くじけそうなとき、「これでいいのだ」という言葉は大いなるパワーを発揮してくれるはずです。

レッスンのポイント
・「これでいいのだ」と言うと、行動が加速し、勢いがつく
・「〜なのだ」と断言することで、自分の態度と責任が明確になる
・たとえ失敗しても、チャレンジしたことを肯定できる

<続きは本書でお楽しみください>


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