「気にしすぎてクヨクヨ…。その気持ち、うまく説明できますか?」/『気にしすぎる自分がラクになる本』①

健康・美容

公開日:2019/9/24

いやなことが忘れられない理由

 具体的な事例を使って気にしすぎてクヨクヨするという心の動きを、うつうつとした気持ちと不安、このふたつで説明しましょう。

 たとえば、「友だちにいったひとことが、相手を傷つけたかもしれない」 と思って、クヨクヨと思い悩んでしまったとします。このときにまず発生するのが、不安です。

 友人が本心で自分のことをどう思っているかはわからないのに(本心がみえていない、目隠しの状態)、友人の気持ちを頭の中で推測し、あの子は私のことを「なんてひどいことをいう人なんだろうな」と思っているに違いない、どうしよう……と、勝手に気にして不安がる。

 目にみえていないものに対して、恐れを覚える状態ですね。

 そして、その感情を処理せずにそのまま放っておくと、うつうつとした気持ちにつながります。「たぶん、私のこと怒っているんだろうな、陰で悪口をいっているかもしれない。でも、今さら謝ってもおかしいだろうし、仕方ないな……」 多くの気にしすぎさんは、このように「気にしていることを忘れよう」と努めるのですが、きちんと忘れられている人はほとんどおらず、たいていの人は臭いものにフタをしただけの状態、つまり刺激や情報をきちんと処理していない状態で放置したままになっているのです。

 また、ひとつ気になることがあると、それに付随するほかのことも気になってしまうことがよくあります。

 これによって、うつうつとした気持ちに拍車がかかります。

 そういえば、あのときもあの子にこんなこといってしまったな、私はなんて浅はかなんだろう……といったように、気になることが連鎖して増えていくのです。

 この負の感情の連鎖によって、感情や気になることの溜め込みが何度も起こり、心の中に未処理の重い感情がどんどんと溜まっていってしまうことになるのです。

<第2回に続く>

長沼睦雄
十勝むつみのクリニック院長。北海道大学医学部卒業。HSC/HSP、発達障害、発達性トラウマ、愛着障害などの診断治療に専念し、脳と心と体と魂を統合的に診る医療を目指している