厳しい現実に向き合い、壁を突き抜けることが「成長」。突き抜けた先に新しい自分がいる/突き抜けるコンディション革命①

健康・美容

公開日:2021/7/20

小林弘幸著の書籍『突き抜けるコンディション革命』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第1回です。著書累計200万部突破。スポーツ学の名医が教える、仕事、スポーツ、食事、ストレス対策、ダイエット、感染防止、メンタル強化など、困難な時代でも結果を残す心と体のコントロールメソッド50! やさしい世界の“やさしい言葉”に安住せず、厳しい現実社会でも突き抜ける心と体のコンディションを身につけよう――!

突き抜けるコンディション革命
『突き抜けるコンディション革命』(小林弘幸/ワニブックス)

はじめに
突き抜けた先に新しい自分がいる

「あなたはあなたらしく生きていい」
「頑張らなくても大丈夫」
「ありのまま、自然体が一番」

 そんな「やさしい言葉」が好まれるようになって、ずいぶんと長い時間がたちます。なぜ人々はそういう言葉を求めるのでしょうか。それは、昭和から平成の初期にかけての時代、世の中があまりにも厳しすぎたからでしょう。

 当時の世界は「やさしい言葉」とは反対でした。逃げ出したい気持ちを包み隠して、歯を食いしばって、頑張らないと生きていけない。それが現実でした。

 さらに、「そんなことは当たり前だ」、「それに耐えられないのなら、生きる価値がない」という無言の圧力がありました。

 その結果は厳しいものでした。精神の崩壊、過労死、過労自殺……現実に心を押しつぶされる人が続出しました。「24時間働けますか?」というCMが当たり前のように流れていた時代です。

 いくらなんでもいきすぎだ――と、状況を改善するために国の政策として進められたのが「働き方改革」です。自殺の原因になるような、長時間労働やハラスメントをなくそうと、専門家の意見に従って、対策を取ってきました。

 だから、「やさしい言葉」は、まさに時代の要請でした。意識の変化は少しずつ、人々の生き方の変化として定着していきました。

 しかし、その一方で「いきすぎたやさしさ」が問題になってきました。大変な思いをするくらいなら、頑張らなくていいという考え方が力をつけてしまったのです。

 いつしか、厳しい現実に立ち向かって努力すること、頑張ることの価値が認められなくなってきました。

 はたしてそれは、本当にいいことばかりなのでしょうか。今回、私がこの本を書こうと思った動機は、その疑問にあります。

 そして、やさしい世界の「やさしい言葉」に安住せず、困難な時代に立ち向かう肉体とメンタル――すなわち〝最強のコンディションを身につけるための自己改革〞こそがこの本のテーマです。

 やさしい世界に甘んじることなく、進んで厳しい現実に向き合いと必ず壁にぶつかるでしょう。しかし、その壁を突き抜けることが「成長」です。絶対に突破できないと思っていたことが、少しずつ成長することによって突き抜けられるようになるのです。それが自己変革、成長のプロセスです。

 成長することを「一皮むける」とか「殻を破る」などと表現しますが、まさに脱皮のようなものです。それには大きなエネルギーが必要ですが、そのステップにより強く大きくなれるのです。

 この本では、大学病院で総合的な健康管理を長年にわたり指導し、また、多くのアスリートの自己変革をサポートしてきた経験から、どうすれば突き抜けた先の自分に出会えるかについて、具体的な50の方法論を紹介していきます。

 実際、私が所属する順天堂大学医学部は、2020年シーズンから、プロ野球・千葉ロッテマリーンズと提携して、選手の医療サポートを行っています。選手たちに心と体を整えることの大切を説いた結果、チームはさっそくクライマックスシリーズに進出しました(2020年)。今回は「日本体育協会公認スポーツドクター」として、皆さんにもコンディション調整の大切さを伝えていきたいと考えています。

 ちなみにこの本はひとつのテーマにつき4ページ構成になっていて、目次はありません。50の中から気になったテーマ、あるいは適当に開いたページを読むなど、リラックスして読んでください。

 2020年、2021年、新型コロナウイルスによって人類は甚大なダメージを被っています。その苦境から復興するには、「頑張らない」、「自然体」だけではどうにもなりません。

 心やさしくて、しかも強いメンタルを持った人たちが、どんどん突き抜けて、世界を素晴らしく変えていくように――そんな願いをこめてこの本を贈ります。

<第2回に続く>

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