「絵本読む?」と聞くだけで、子どもが走ってくるように。動物とオノマトペで2歳児が夢中になった絵本『キリンリンリン』【書評】
公開日:2026/2/18

小さな子どもは、動物が出てくる絵本が好きだ。さらに言えば、「ワンワン」「ガオー」「ドーン」といった、音の面白さがある絵本にも強く反応する。意味を理解する前の赤ちゃんは「音」として、言葉を覚え始めた2〜4歳頃の子どもは「発声する遊び」として楽しめる。年齢によって楽しみ方が自然に変化するのも、このタイプの絵本の魅力だろう。
そうした特徴をしっかり押さえた新作絵本としてオススメなのが、アリムラモハさん(@mohamedo62)による絵本『キリンリンリン』(KADOKAWA)だ。この絵本は、SNSで話題になった「動物の体の一部が伸びたり縮んだりするGIFアニメ」の発想をもとに生まれた作品で、動物とオノマトペ、そして“変身”の楽しさが詰まっている。この『キリンリンリン』を、2歳6カ月の息子に実際に読んでみたときの反応を中心に紹介したい。
タイトルの語感だけで、子どもが寄ってくる絵本
まず、「キリンリンリンを読む?」と聞いてみた。すると、タイトルの語感の響きが楽しいのか、「読む読む!」と言いながら、息子はすぐこちらに寄ってきた。内容に入る前から、タイトルのリズム感が子どもにしっかり届いているように感じた。
物語はとてもシンプルだ。木の高いところにあるリンゴを見つけたキリンが、「もう少しなのに届かない」という場面から始まる。次のページで、キリンの首が「キリンリンリン」という擬音とともに伸び、リンゴに届く。

ページをめくるたび動物が登場し、その動物の名前をもとにしたオノマトペがセットで登場し……と、テンポよく展開していく。最後には、GIFアニメがもとになった絵本らしいオチも付いてくる。
動物が次々に出てくるだけでなく、アリムラモハさんの動物のイラストがポップで可愛らしいのも相まって、息子も楽しそうな様子。特にライオンやゴリラのページがお気に入りで、動物の姿に合わせて元気よく声を上げていた。
2歳半にはまだ難しい? それでも笑って真似する理由
2歳半の息子には、「首が伸びる」「鼻が伸びる」という変化の意味は、まだよく分かっていないようだったが、それでも、この絵本はしっかり楽しんでいた。
ゴリラが「ゴリゴリゴリラ」という擬音とともに大きくなるページでは、笑いながらゴリラの真似をして「ウホウホ」と声を出していた。

意味を理解できなくても、音と動きの楽しさをそのまま受け取るだけで楽しめる絵本なのだ。さらに印象的だったのが、キリンが見開きページいっぱいに首を伸ばした場面だ。乗り物好きの息子はそれを線路に見立て、「ガタンゴトン、ガタンゴトン」と言いながら電車を走らせる真似をして楽しんでいた。
作者の意図した楽しみ方とは違うかもしれない。けれど、見開きいっぱいに広がったキリンの首はたしかに線路のようにも見えるし、絵本の中に子どもが自由に想像を広げられる余白があるからこそ、こうした反応が生まれるのだと感じられた。
そして、「キリンリンリン」「ゴリゴリゴリラ」といった繰り返しのあるオノマトペは、親にとっても非常に読み聞かせしやすい。自然とテンションを乗せやすいし、読み手が楽しそうに読めば、その空気がそのまま子どもにも伝わるのだ。
『キリンリンリン』は、内容を理解させるための絵本というより、一緒に声を出し、反応を楽しむための絵本といえるだろう。子どもがどんな遊び方を見つけるのか、その瞬間を横で見られること自体が、この絵本のいちばんの魅力なのかもしれない。
文=古澤誠一郎
◆『キリンリンリン』書籍紹介ページ
https://yomeruba.com/feature/pic-book/ehon/entry-138849.html
