関西弁を喋るブサイクな猫が恋愛指南? 恋に不器用なバリキャリ女性のもふもふラブコメ小説『元カレの猫が、居座りまして。』【書評】
PR 公開日:2026/3/11

恋人がいない期間が長くなると、恋愛の仕方すら分からなくなる。恋ってなに? 人を好きになるって、どんな気持ちだっけ…? そう思った時、手に取ってほしいのが、恋に不器用なアラサー女性の恋愛模様をコミカルに描いた小説「元カレの猫を、預かりまして。」シリーズ(石田祥/双葉社)だ。
本作はドラマ化が決定。2026年3月7日(土)と3月14日(土)に、2週連続で放送される。主人公を演じるのは、元AKBの柏木由紀だ。
主人公の柴田まさき(34)は、セキュリティシステム販売会社の営業主任。仕事ができる、バリキャリ女性だ。だが、恋に関しては不器用。3年前に彼氏と別れ、恋愛から遠ざかっていた。
だが、ある日、元カレから飼い猫のヨミチを託され、人生が一変する。ヨミチはオヤジ臭い関西弁を話し、匂いで人の感情が分かる不思議な猫。なぜか恋愛に詳しく、意外と的を射た恋愛指南をする。
シリーズ1作目でまさきはヨミチの恋愛指南を受け、年下イケメンのエリート社員・矢代篤と交際。読者は、ヨミチとまさきが繰り広げるコミカルなやりとりに笑いつつ、女性上司×イケメン部下という王道なラブストーリーに胸キュンした。
シリーズ2作目となる『元カレの猫が、居座りまして。』では、まさきと矢代の“その後”が知れる。仕事も恋も順調な日々を送る、まさき。だが、矢代に思いを寄せていた美女・橘彩華が営業部へ移動してきたことで日常に暗雲が…。
男性社員からチヤホヤされている彩華は協調性がなく、仕事に対する責任感もない。まさきら営業部のメンバーは、自由奔放な彩華に振り回されることに――。
加えて、まさきには別の問題も振りかかる。父と喧嘩した母が家出し、まさきの家に居座ったのだ。頑なに自宅へ帰ろうとしない母に、まさきは困惑してしまう。
そんなまさきを支えるのは、やっぱりヨミチ。「人生、何周目?」と突っ込みたくなるほど達観しているヨミチは、まさきのモヤモヤを的確に言語化。くだらないギャグを言ったり、おちょくったりしながらも、乗り越え方を説く。
コミカルなのに意外と核心を突くヨミチのアドバイスは、様々な生きづらさに悩む読者にも刺さるはずだ。
なお、今作ではまさきと矢代の仲に大きな変化が…! 結婚という現実も考え始めたまさきは前作同様、ヨミチの恋愛指南を受けながら矢代との“これから”を考えるように。だが、同じ部署には前作で恋敵だった彩華がいる。
自分に自信がないまさきは、矢代の気持ちが離れていかないか、不安に駆られることも…。好きだからこそこみ上げてくる心のモヤモヤをまさきはどう受け止め、乗り越えていくのだろうか。
ちなみに、本シリーズはお仕事漫画としても刺さる。女性らしさを武器にせず、実力で地位をつかみ、営業部のリーダーとしてバリバリ仕事をするまさきはカッコいい。
だからこそ、内に秘めたまさきの弱さや繊細さを知ると、「みんな似た不安やモヤモヤを抱えているのかも…」と安心できるし、理不尽なことが多いこの社会でもう少しだけ頑張ってみようかと思えもする。
また、まさきの恋敵として描かれている彩華も味のあるキャラクターだ。今作では彩華が抱える、美人であるがゆえのコンプレックスも明らかに。外見に関する話は内面磨きの話に繋げられ、綺麗な言葉で片付けられることも多いが、ヨミチは違う。「内面なんかどうやって磨くんや?」と一般論を一蹴した上で、人の魅力の本質を説くのだ。
そうしたヨミチの考えに触れると、自分が嫌いな私も少し許せそうな気がしてくるから不思議だ。
達観しているのに、大好きな猫缶がもらえないと部屋を荒らすほど怒るヨミチはつかみどころがない猫。今後も、まさきと笑いが絶えない日々を送っていくことだろう。新刊が出たばかりだが、続編の発売が待ち遠しい。
文=古川諭香
