『AKIRA』『進撃の巨人』『攻殻機動隊』。講談社が作品をクロスオーバーさせ“紙を使った映像作品”を作った理由。【『LIGHT HOLE』制作陣・座談会】
公開日:2026/6/27

講談社のパーパス〈Inspire Impossible Stories〉を映像で形にする目的で立ち上げたブランデッドフィルム。一昨年にコンテストのコンペが行われ、148企画の中から香取徹監督の『LIGHT HOLE』が見事受賞をはたした。完成した映像は今年3月に公開され、講談社を代表するIPを紙だけで表現したストップモーションアニメが大きな話題に。そこで制作に携わった4名にお集まりいただき、完成までの経緯やそのこだわりをうかがった。
『LIGHT HOLE』は〈Inspire Impossible Stories〉を具現化した映像
──最初に、皆さんがこの『LIGHT HOLE』にどのように携わったかをお聞かせいただけますか。
岸 勇喜(以下、岸):私は今、コーポレート企画部という部署に所属しており、そこでは講談社全体のブランドイメージをより明確にし、海外に向けてその認知度を高めていくというミッションを担っています。講談社には、“作り手と読み手に新たな発見を提供し、見たこともない物語を生み出す”というブランドパーパス〈Inspire Impossible Stories〉があるのですが、それを体現させる企画として、今回「講談社ブランデッドフィルムコンテスト」を立ち上げ、約150本の応募作の中からコンペで選ばれたのが、香取徹監督の『LIGHT HOLE』になります。
永盛拓也(以下、永盛):私がいる講談社クリエイターズラボは、その名の通り、「出版社=本」という概念にとらわれず、これまで培ってきた漫画や書籍編集の編集の経験や知見を使って、幅広いジャンルのクリエイターさんたちとともに新たなゲームや映像作品などを生み出してきました。そうしたなか、コーポレート企画部と一緒に何か作れないかという流れになり、私はプロデューサーの立場でブランデッドフィルムに携わることになりました。その後、香取監督の作品がコンペで選ばれ、実際に映像を作るにあたって制作チームに加わっていただいたのが映像制作会社GEEK PICTURES(ギークピクチュアズ)の大竹さんと内海さんになります。
大竹 聡(以下、大竹):実は香取さんとは以前から知り合いでして。我々が参加したのは、監督から「ブランデッドフィルムのコンペを手伝ってもらえませんか」と直接お声掛けいただいたのがきっかけでした。ですから、正確には受賞の少し前からの参加になります。
──香取さんの『LIGHT HOLE』はどういった点が高く評価されたのでしょう?
永盛:一番大きかったのは、講談社の代表的なIP(作品)を使い、それらを紙で表現するというアイデア。そこに魅力と面白さを感じました。講談社は110年以上にわたって紙の出版物を大事にしてきた会社ですので、会社の理念とも一致したんです。また、それをシンプルなアニメーションではなく、実際に紙で造形物を作り、ストップモーションアニメで見せるというところにも強く惹かれました。
岸:コンペ作品を見たときから、未知の世界という感じがして、ワクワクしましたよね(笑)。
永盛:本当に。というのも、これは講談社の気質なのかもしれませんが、私たちはいつも作家さんが生み出すものを何よりも大事にしているんですね。例えば、漫画の担当編集者として作家さんに意見をお伝えすることはありますが、その通りに描いてもらいたいとは全く思っていないんです。むしろ、私たちの意見を圧倒的に超えるような、想像もつかないものを生み出してほしい。コンペで見た香取さんの作品には、その可能性を強く感じたというのもあります。
大竹:確かに、今回講談社さんと一緒にお仕事をさせていただいて感じたのは、映像の力をすごく信じてくれている方たちだなということでした。作り手のことを非常にリスペクトしてくださっていますし、制作に入る前のディスカッションにも1ヵ月以上もの時間をかけてアイデアを出し合う機会を作ってくださったりして。
内海 和(以下、内海):それに、監督や私たちの想いを尊重してくださっているのを強く感じました。面白そうなアイデアが出ると、「いいですね、それもやりましょう!」とすぐに前向きに検討してくださって。そうした環境を作ってもらえると、自由にいろんな意見を言えますし、100%の力を発揮することにもつながっていく。クリエイターにとってものすごく幸せな現場でした。


