日給40万円の怪しい仕事は“都市伝説の清掃”!? 借金まみれの青年とハト頭の男が怪異に挑むシュールなホラーコメディ【書評】

マンガ

PR 公開日:2026/7/8

都市伝説清掃員
都市伝説清掃員(宙埜つき/ブシロードコミックス)

 全国各地でまことしやかに囁かれる都市伝説には、人の心を掴む独特の魅力がある。真偽が定かではないからこそ、人は「この目で真相を確かめたい」という欲望に駆られてしまうのだろう。

 そんな都市伝説好きにぜひ読んでほしいのが、漫画『都市伝説清掃員』(宙埜つき/ブシロードコミックス)だ。本作は、“都市伝説を清掃”するという奇妙な仕事を任された主人公の奮闘を描いたホラーコメディだ。

異形のビジネスパーソンに誘われ、日給40万円の怪しい仕事に

 主人公は借金まみれの人生を送る、四宮凪。とことん金に縁がないのか、かけもちしていたアルバイト先が立て続けに潰れるという不運に見舞われた。いっそ臓器でも売るか…? そう悩んでいた時に出会ったのが、ハトの頭をした異形のビジネスパーソン。

都市伝説清掃員
都市伝説清掃員
都市伝説清掃員

 一緒に、この国に巣食う都市伝説を清掃しませんか――。そう誘われた四宮は困惑するも、日給40万円という高収入に惹かれ、ハトリと名乗る異形の男(?)と契約を交わしてしまう。

 最初に任されたのは、誰もが知る「口裂け女」の清掃だった。口裂け女といえば、「ポマードに弱い」という特徴が有名だが、ハトリが語る目撃証言は実に斬新。「三姉妹」や「赤いスポーツカーに乗っている」など、都市伝説が現代風にアップデートされているのだ。

 こうした遊び心が盛り込まれているので、本作は一般的なホラー漫画が苦手な方でも手に取りやすい。都市伝説を清掃する過程でハトリと四宮が繰り広げる軽快なやり取りにも、クスっとしてしまうことだろう。

 不幸体質であるがゆえに都市伝説を引き寄せてしまう四宮は、口裂け女とあっさり遭遇。弱点とされているポマードを突き付けるも、全く効果はない。戸惑う四宮に対してハトリは、車のトランクに入れていた“清掃用具”の使用を命じる。

 さぞ神秘的なものが登場するのかと思いきや、現れたのは何の変哲もない斧。緊迫したシーンで、こうしたほどよい脱力感を味わえるのは本作ならではの醍醐味だ。シュールな笑いが好きな私は、独特なこの世界観にすっかり引き込まれてしまった。

癖の強い先輩キャラも登場! 結末が想像できないホラー漫画

都市伝説清掃員
都市伝説清掃員
都市伝説清掃員

 口裂け女と対峙した四宮はその後も、巨大な頭の「巨頭オ」に草刈り機で立ち向かったり、清掃報酬500万円の「猿夢」に挑んだりと大奮闘。その中では四宮の先輩として、九十九鈴香(つくも・すずか)という、これまた癖の強いキャラクターが登場。九十九は呪文で都市伝説を清掃するタイプだが、弟への愛が深すぎるなど、四宮同様に人間臭い一面を持っているので、物語がファンタジーに寄りすぎることはない。読者は現実感を損なうことなく、ホラーの世界を楽しみ尽くすことができるはずだ。

 なお、九十九や四宮のバトルシーンは迫力満点。バトル漫画好きも満足できる作品となっている。

 物語の結末はギャグで締めくくられるのか、はたまたホラー色の強いシリアス展開になっていくのか――。そんな風に先が読めないのも、本作の大きな魅力である。何より気になるのが、ハトリというキャラクターの正体。なぜか、四宮以外にはハトの姿に見えておらず、四宮のスマホには「ハトリに気をつけろ」というメッセージが届いたことも…。

 彼はなぜ、都市伝説を清掃しているのか。そして、四宮の類まれなる身体能力と都市伝説の清掃との関係は…? すべての謎が明かされるその日まで、四宮たちの活躍を追い続けていきたい。

文=古川諭香

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