江戸時代にも「推し活」や「流行のヘアスタイル特集」があった!? トイレ事情からスイーツまで、町人のリアルな暮らしが丸わかりのQ&A雑学本【書評】

文芸・カルチャー

PR 公開日:2026/8/28

町人の暮らしから見る 江戸時代がヤバい
町人の暮らしから見る 江戸時代がヤバい(宮田和男/講談社)

 ご存じだろうか? 江戸時代、どうしても注目されるのは武士の存在だが、実は町人も“主役”だったことを。

町人の暮らしから見る 江戸時代がヤバい』(宮田和男/講談社)は、Q&A形式で幅広いカテゴリーの知識を得られ、江戸の町人の「暮らし」がぐっと身近に感じられる、お手軽なのに奥深い一冊だ。

 著者の宮田和男(みやた・かずお)さんは、小中学校の教員を経て、江戸城跡や水戸城跡等の発掘調査に携わり、最高水準の技術で遺跡調査に取り組んできたエキスパート。その功績は「Newsweek」や「TIME」で特集されたり、The Wall Street Journal「NEXT LEADERS AWARD」に選出されたりと、海外からも注目されているとか。

 その宮田さんは語る。「歴史は本来、過去に生きた人々の『暮らし』の積み重ね」であり、ただ年号や人物名を覚えるだけでは歴史との関わり方としてはもったいない。本書では、その「暮らし」を支えた江戸の町人たちから、「リアルな江戸時代」をのぞいてもらいたいという想いが込められている。

 ちなみに町人とは「商人や職人、長屋に住む人々、食べ物を売り歩く人々、町を支えた人々」のこと。本書は食べ物、ファッション、恋愛、犯罪、災害、教育、都市計画と、身近な話題から真面目な話題まで幅広く網羅している。

 例えば「Q.丁髷(ちょんまげ)って、流行っていたの?」という項目。

「A.実用品として生まれた髷(まげ)は、江戸時代には「粋」を競うおしゃれへと変わっていった」。

 現代人の感覚からすると、どうしても「なぜあんな髪型を?」と思わずにはいられない髷は、本来、烏帽子(えぼし)や兜(かぶと)を着ける際、頭が蒸れるのを防ぐための極めて実用的な髪型だったという。

 それが江戸時代になると、武士の髪型を庶民がまねるようになり、町人の一般的なスタイルとして広がっていったのだとか。

 しかし、ただ「まねた」だけではなく、時代や身分、職業によって流行や廃りもあった。『当世風俗通(とうせいふうぞくつう)』には、「流行りの髪型特集」のような紙面もあったのだとか。髪型でおしゃれを楽しむという感覚は、現代人でも大いに共感できるのではないだろうか。

 こんな項目もある。

「Q.江戸時代から『推し活』ってあったの?」。答えはYESだ。

 江戸時代も後期になると、歌舞伎は庶民にとって最大の娯楽であり、歌舞伎役者はアイドルや俳優のような存在になっていたとか。

 ファンのことは「贔屓(ひいき)」といい、彼、彼女たちは推しに会うために芝居小屋へ通った。役者の姿を描いた「役者絵」や、役者の紋をあしらった団扇や手ぬぐいなどの推しグッズも存在したそうだ。当時の人々も推しを応援する気持ちは変わらなかったのだろう。

 本書の難しさとしては、中学生くらいから読める内容だと思うので、授業で習ったことの+αを知りたい学生にも最適だと感じる。気になったことを検索するような感覚で、手軽にその項目だけを読むこともできるので、江戸時代の小説やドラマが好きな方の“最高のお供”としてもオススメしたい。

 その他、「江戸っ子が好んだスイーツは?」「江戸時代、トイレはどうしていたの?」「疫病に関する伝承や呪いがあったって本当?」「花魁はなぜ、『ありんす』などの独特な言葉遣いをしたの?」「日本の交通網は世界レベルで誇れるものだったって本当?」などなど、本記事では紹介しきれないほど多くのQ&Aが掲載されているので、少しでも気になった方はぜひ、お手に取ってみてほしい。

文=雨野裾

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