平均月収12.7万円。地下アイドル業界の今後はどうなる? 姫乃たまインタビュー【後編】

エンタメ

2018/1/10

img01.jpg
地下アイドル・ライターとして活躍する著者・姫乃たまさん

 ライブ活動がメインの地下アイドル。ライブの本数は多く、記録として残っているものはほとんどない。16歳から8年間、地下アイドルとして活動している姫乃たまさんは、アイドル文化を残したいと、ライターとしても活躍。内と外からアイドル業界を見つめている。

 そんな姫乃さんが、現役の地下アイドルとそのファンたちにアンケートを取り、アイドル業界の実態に迫りつつ、自身の半生を綴っているのが『職業としての地下アイドル(朝日新書)』(姫乃たま/朝日新聞出版)だ。

 インタビュー後編ではビジネスとしてみるアイドル業界、アイドル業界の今後、姫乃さんご自身の今後ついて語ってもらった。

◎平均月収12.7万円の地下アイドルは「やりがいの搾取」?

――今回、現役のアイドルにアンケートを取ってみて、意外に思ったことはありますか?

姫乃 地下アイドルの平均月収が12.7万円というアンケート結果が出たのですが、出版後「予想より多かった!」という声をもらいました。趣味で12万円稼げたと考えれば多いですが、これだけで生活しようと頑張っている人の姿を思うと少ないようにも感じます。「お金はどうでもいい」と考える人もいますけど、意外と激務なので。

――“やりがい”があるから我慢するって感じですか。

姫乃「やりがいの搾取」みたいなのはあるかもしれません。たまに売上自体をオーディションの過程で競うものがあって、資料が回ってくるんですけど、それがめちゃくちゃ安い。撮影会とか有料ネット配信とか日々稼働しないといけないのに、下手したらアイドルへのバックは売り上げの2割くらい。

――事務所に入っていると、さらに事務所の取り分で引かれて…。ちなみに姫乃さんはフリーだから、事務所に取られないけど、物販も全部自分でやってるんですよね?

姫乃 そうです。デザイナーさん、カメラマンさん、イラストレーターさんに自分で依頼して、業者も自分で決めています。費用も自己負担です。

――え、大変だ…。会社に所属しようとかは考えないんですか?

姫乃 私は会ったことのない人に会うのが好きなので、フリーのままで困っていることはありません。事務作業が苦手な方、歌に専念したい方が事務所に入るのに向いていると思います。あとはメジャーに近づきたかったら、ある程度大人に任せた方が良いのですが、私は根がインディーズなので……。

――フリーの地下アイドルって多いですか?

姫乃 割合的には事務所に入っている方が多いですが、人数だとフリーランスのアイドルもたくさんいます。以前だったら、フリーのアイドルってありえなかったことですよね。大学を卒業する時、「フリーランスになったらローンも組めないぞ」って脅されましたが(笑)、楽しく生きています。

◎デビューする前に引退する地下アイドル!?

――地下アイドルって全体で何人くらい?

姫乃 何をしたら地下アイドルという定義がない上に、首都圏だけでなく、全国にローカルアイドルがいるので誰も把握できていません。最近だとデビューしてすぐに引退しちゃう子や、デビューする前に引退する子までいるので尚更です。

――え? デビュー前に引退?

姫乃 ありますあります。女の子側の問題もあるんですけど、運営側も問題あるんでしょうか。すごい話ですよね。

――問題ある運営ってどんな感じですか?

姫乃 うーん、営業のノウハウがある人はほとんどいないと聞いています。それ以前にメールが滞るとか、連絡事項が伝わってないとか、社会人だったら当たり前なことができない運営の方も結構いるようです。

――じゃあ、某アイドルグループのようにプロが参入すれば一人勝ちできると。

姫乃 最近はアイドルブームも落ち着いてきましたが、ちゃんとした人がくれば勝てる業界だったと思います。

――穴場な業界じゃないですか!

姫乃 一時期、同じように考えていた人がたくさん参入してきました。でも、ファンを下に見ている人も多かったように思います。価格設定が異様に高いとか、ファンに対して横暴だとか。今はアイドルブームの競争で淘汰されて純粋に楽しんでいる運営さんが多い感じがしていいですね。

◎これからの地下アイドル業界はどうなる?

――最近では、アイドルブームも落ち着いてきたかなと思いますが、これから地下アイドルはどうなっていくと思いますか?

姫乃 またコアな現場中心の文化に戻っていくんじゃないかな。なんでも振り切ったら、逆方向に戻ってくると思うので。ブームの最中はいかに奇抜なことができるかみたいな争いもあって、やりたいことよりも目立つことを優先して疲弊している感じがありました。これからは落ち着いて、ますます居心地がいい業界になる気がします。

――そんなアイドル業界で、地下アイドルとして、ライターとしてやってみたいことはありますか?

姫乃 人が言語化できない気持ち・現象に興味があります。もともと世間に知られていない地下アイドル業界のことを伝えるのが面白くてこの仕事をしているので、今後もライターとして、地下アイドルとして言語化されていないものをわかりやすく外に伝えていきたいです。

――最後に読者に一言お願いします。

姫乃 私自身のいじめやうつ病のエピソードを書いたので、それを気にしてくれる方がいますが、元気にやっています(笑)。『職業としての地下アイドル』は地下アイドルについての本ですが、「鬱屈と生きてきた人でも、意外な業界で居場所を見つけることができるんだ」と思って、安心する人がいてくれたらいいです。必要な人の手に届いたら嬉しいです。

文=冴島友貴

【前編はこちら】地下アイドル、そして応援するファンの実情。内側と外側から業界を見つめる、地下アイドル・姫乃たまインタビュー