「カルト村」での衝撃体験が話題となり「続きが読みたい!」の声が殺到 ! 壮絶な毎日を過ごす著者が、村からどうやって脱出を決意したのか?

コミックエッセイ

公開日:2017/2/24

 『カルト村で生まれました。』(文藝春秋)という衝撃的なタイトルのコミックエッセイで、自身の体験を赤裸々に描いた高田かやさん。彼女が生まれ育った“カルト村”では食事抜きや体罰は当たり前、さらには手紙の検閲など厳しい情報統制がされているため、自分たちの置かれている状況がおかしいことになかなか気づけなかったという。

 そんな軍事国家のような支配下で逞しく生き抜いた日々を描いた同書は、発売後大きな話題を集め、重版に次ぐ重版、ネット上でも「すごい一冊だ」と高く評価された。そして、ついには続編となる『さよなら、カルト村。』(高田かや/文藝春秋)が1月30日(月)に発売された。この続編も発売直後に重版がかかったというから、その注目度の高さがうかがえるだろう。

『カルト村で生まれました。』レビュー

 前作では高田さんがカルト村で過ごした幼少期にスポットライトが当てられていた。そして本作では、思春期となる村の中等部・高等部での暮らしぶりに加え、高田さんが村を出るまでが描かれている。

 村の子たちは年齢によって初等部、中等部、高等部に分類され、各部それぞれ別の宿舎で暮らす。そして、初等部の間は親のいる村の近くに配属されるが、中等部になると“本部”の人事担当者が指定した村へ行かされてしまうという。そして、高田さんが配属されたのが、この本部だった。

 本部は村の中でも最大の敷地面積を持ち、畑の広さも動物の数もこれまでとは段違い。……とここまで聞くと、なんだか楽園へ配属されたかのようだが、結局、村は村。そこでの異様な生活に大差はない。

 ところが、唯一の救いは“ひもじい思い”をしなくて済んだこと。初等部時代は、理科室の塩や甘い歯磨き粉、お地蔵さんのお供え物などで飢えをしのいでいた高田さんも、本部に来てからはお腹いっぱい食べることができたという。

 また、初等部との違いはもうひとつ。それは叱られる時の“体罰”がなくなったことである。初等部時代には体罰が当たり前だったため、高田さんはそれがなくなったことを「本当にうれしかった」と述懐している。ただし、それに代わる恐ろしい罰 “コベ”の存在が待ち受けていた…。

 その後、村の高等部にあがった高田さん。一般の高校には行かせてもらえなかったため、1日の大半が労働時間だったという。そんな高田さんに、ある日突然転機が訪れる。提出したレポートが世話係の逆鱗に触れ、“親元ミーティング”に出されてしまうのだ。それは、かなりの問題児扱いであることを意味する。

 中等部、高等部時代も幼少期と違わず、なかなか理解に苦しむ状況下に置かれていた高田さん。そんな彼女がいったいどのようにして村から脱出したのか。本書ではその顛末が描かれている。マインドコントロールのような支配下におかれていた少女が、一大決心しそこからの脱出を図る。高田さんはその流れをさり気なく描いているが、相当な苦労と葛藤があったことは想像に難くない。早く逃げて。読者はきっと手に汗握り、高田さんを応援してしまうはずだ。

 現在では、自身の体験を書籍として発表し、最愛の夫と幸せに暮らしている高田さん。彼女がいま笑顔でいられるのは、決して過去を憎んだり恨んだりせず、それをすべて生きるための糧にしているからではないだろうか。芯の強さがあれば、どんな状況からも幸せは手にすることができる。本作は、そんな大切なことを教えてくれる素晴らしい一冊だ。

文=五十嵐 大