高齢になった親と話すとギクシャクする…。そんな親子関係を円満にするコミュニケーションのヒント

暮らし

公開日:2022/10/19

マンガでわかる! 老いた親との上手な付き合い方
マンガでわかる! 老いた親との上手な付き合い方』(平松類、つだゆみ/SBクリエイティブ)

 高齢の親とのかかわりに悩む人たちは少なくないはずだ。筆者も先日、実家へ帰ったときにとある会話の行き違いから両親とケンカしてしまったのだが、そんなときに「親がもっと若いときは話が通じたのに…」とイライラしてしまった。

 なぜ、高齢の親とのかかわり方がぎくしゃくしてしまうのか。そう考え手にとった書籍が『マンガでわかる! 老いた親との上手な付き合い方』(平松類、つだゆみ/SBクリエイティブ)だった。本書はタイトルからも分かるとおり、高齢の親とのかかわり方を見つめ直せる1冊だ。

 医師が著した本書の解説は主にマンガで展開していく。ふとしたきっかけで7人の老人たちが住むシェアハウスの管理人となった主人公・白鳥姫子を中心に、高齢者にまつわる日常を描き、その対策を紹介している。

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 また、テキストで「老いた親に何が起きているのか」「周りの人がしがちな間違い」「周りの人がすべきただしい行動」「自分がこうならないために」「自分がこうなったら」と、周囲の人たちや高齢者本人に対するアドバイスをまとめているのも、特筆するべき点だ。

 描かれる事例も身近なものばかりである。例えば、高齢者から「同じ話を何度も聞かされる」という悩みを若い世代から聞く機会がある。そもそも高齢者の困った行動は「老化による体の変化」が原因と述べる本書は、なぜ「同じ話」を繰り返すのかを解説する。

 まず、老化したからといって「すべての記憶が同じようになくなるわけではない」と本書はいう。ただ、年齢を重ねると「長期的な記憶」が残りやすく、「短期的な記憶」が残りにくくなるとも述べている。

 では、高齢者が同じ話を繰り返すことのないよう、若い世代はどのように対処するべきなのか。

 真っ向から「同じ話をしないでよ!」と怒るのは厳禁。じつは高齢になると「繰り返したこと、体を動かしたことも記憶が続きやすい」という傾向もあるため、例えば、「お茶を飲むなど、ちょっとしたこと」をしながら話してもらい、話の内容を記憶してもらう。もしくは、この日と決めて「1日にあえて何度も話してもらって、話したこと」を覚えてもらうなどの方法がある。

 そして、自分が高齢になったときの対処法を掲載しているのも本書の特色だが、そこに書かれた「庭仕事などちょっとした体を動かすことをしながら繰り返し思い出す」という方法や、記憶したら「30分以内の昼寝をする」という方法をすすめてみるのもいいだろう。

 誰でも年齢を重ねるもの。自分もいずれは高齢になると考えると、年を重ねた親を邪険にするわけにはいかない。高齢の親との関係に悩む人たちに向けて、本書は優しく、互いに快く付き合うためのヒントを与えてくれる。

文=カネコシュウヘイ

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