自由研究の点と点を繋いでくれる。ジャンプから生まれた学習マンガ雑誌「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」の魅力

　8月も半ばに差し掛かると、多くの子供たちが頭を悩ませることになるであろう「自由研究」。テーマは何にしよう、どうやってまとめよう……“自由”だからこその難しさがある自由研究は、夏休みの最大の宿敵と言っても過言ではない。そんな自由研究の壁にぶつかっている子供たちにおすすめしたい一冊がある。それが、「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」だ。

「勉タメジャンプ」とは、あの「週刊少年ジャンプ」が“本気で作った”子供向けの学習マンガ雑誌。雑誌名の「勉タメ」とは、勉強とエンターテインメントを組み合わせた言葉であり、今年の4月には第1号となる「勉タメジャンプ 2023 SPRING」が発売され大きな話題を集めた。そして、7月13日に発売された待望の第2号が今回紹介する「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」であり、一冊まるごと「自由研究」を総力特集している。

――さぁ一緒に、この夏いちばんの「面白い！」を見つけに行こう！

　夏の暑さに負けないくらい、鮮やかな色彩と賑やかな表紙が目を引く「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」をめくると、こんなにも頼もしいメッセージが私たち読者を出迎えてくれる。そして、自由研究とはそもそも内容を考えるものではなく、あなたの興味関心から始まるのだと。今までぼんやりとしていた“自由研究”の定義、そして具体的な進め方を子供の目線に立って提案してくれる。

　さらに、ページをめくると『べるぜバブ』でお馴染みの田村隆平先生による、古代エジプトが題材の『セベクちゃんは噛みつきたい』。そして『Dr.STONE』のBoichi先生が手掛ける、人体をテーマにしたバトルアクション『人体レスキュー探検隊』など、ジャンプ読者なら思わず二度見するほどの豪華連載陣による学習マンガが続く。だが、注目すべきは連載陣の豪華さだけではなく、その内容だ。

　学習マンガといえば、開始早々に情報の羅列や長い吹き出しが続き、結局マンガとは思えずなんとなく読むのを挫折してしまった……そんな経験はないだろうか？ それが、「勉タメジャンプ」には一切ないのだ。例えば、『セベクちゃんは噛みつきたい』では、噛みつくのが大好きだという、なんとも可愛らしいセベクちゃんというキャラクターが登場し、2人の小学生はひょんなことからエジプトへとリープ！ 『人体レスキュー探検隊』では、学校のトイレで用を足していたら宇宙人が現れる!? そんなマンガを読むときに感じる驚きや高揚感がしっかりと用意されているのだ。

　そして物語が進むにつれて明らかになっていく、セベクちゃんとはエジプトの神様であること、宇宙人の敵は人体に不調をきたす腫瘍などの病源であること……。作品を読み終わる頃には、古代エジプトの文化や神々の存在、そして人体について「もっと知りたい！」と、勉強とはまた違う、まるでマンガのキャラクターや舞台設定を調べたくなるかのように自然と知識欲が掻き立てられる。マンガで描かれる物語と学習、この2つが地続きになっている作りはまさに勉強とエンターテインメントの融合であり、雑誌名の「勉タメ」そのものだ。

　また、付録には「結晶実験キット」がついてくる。とある有機化合物を用いて、雪のような結晶が作れるというものだが、こちらは学習マンガ『バケル』とリンクした実験になっており、本編を読んでからトライすることで、興味関心が強まるのはもちろん、実験への解像度をより高めてくれる。

　まるで童心にかえったかのように大人である筆者も一冊夢中になって楽しんでしまったが、こうして読み終わった今、気づいたことがある。それは、「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」とは、自由研究をするにあたり、点と点になっていたものを繋げてくれる……そんな存在だと。子供の頃、自由研究は億劫だったけれど、なんせ“自由”なのだから最初は色々なことを考えては胸が躍った。どうして空は青いのか？ 錆びた10円玉を酢につけたら綺麗になるって本当か？ 血液型ってどうして同じ家族でも違うの？ それらをいざ調べてみたはいいけれど、残ったのはたくさんの実験結果や仮説に事実。で、“自由研究”とやらにするにはどうしたらいいの？ と私は途方に暮れた。

　だけど、「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」なら教えてくれる、たくさんの実験結果や仮説に事実……そんな点と点をどうやって繋いでいけば自由研究という形になるのかという考え方を。もちろん、何をしよう？ と最初の段階でつまずいている子にだって、学習マンガが優しく手を差し伸べてその入り口へと誘ってくれる。

　友達よりも頼りになる、だけど「一緒にやろうよ！」と子供の目線で気さくに並走してくれる、まるで近所のお兄さん、お姉さんみたいな存在の「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」。もしも、自分が子供の頃に本誌があったら私の自由研究の思い出もきっと楽しいものになっていたのかなと、現代の子供たちがつい羨ましくなってしまう。

「自由研究」に頭を抱えている子供たち、その様子をみている親御さん方。今年の夏は「勉タメジャンプ 2023 SUMMER」と一緒に取り組んでみてはいかがだろうか？

文＝ちゃんめい