女の脳はスポンジでできていた!? 19世紀の女性たちを苦しめたばかばかしい迷信の数々

社会

2018/5/26

『問題だらけの女性たち』(ジャッキー・フレミング:著、松田青子:訳/河出書房新社)

「女性の脳は小さいだけでなく、柔らかい、スポンジのような軽い素材でできていました。娘たちは刺繍のステッチを60種類覚えてしまうと、もうそれで脳みそがパンパンになってしまいました」

 ばかばかしく思えるこの話も、19世紀ヴィクトリア朝のイギリスにおいては「ただの冗談」ではなかった。女性は何をするにも蔑視され、さまざまな迷信や固定観念に苦しんでいた。女性はいつも「問題がある」と決め付けられ、その活躍は歴史のゴミ箱に捨てられていった。

『問題だらけの女性たち』(ジャッキー・フレミング:著、松田青子:訳/河出書房新社)は、漫画家でイラストレーターのジャッキー・フレミングがそのユニークなタッチでかつての女性蔑視を描いた、絵本のような1冊。ユーモアと皮肉がたっぷり詰まった本書には、当時の女性たちへ向けられた「おかしな視点」がこれでもかと記されている。

 

「女性は夜よく目が見えなかったので、外出が許されていませんでした。また、どこに連れていくにも感情的すぎたので、たいてい家の中でしくしく泣いていました。時にはヒステリックに」

 女性は夜によく目が見えていないと思われていたとは驚きだ。19世紀にはこのように、女性は「劣った生き物」として見られていた。「素晴らしい」「天才が多い」とされた男性よりも、全てにおいて駄目な生物とされたのだ。

「女性は概して科学界から歓迎されていませんでした。場違いに見えたからです。女性は科学ができる、なんて間違った印象を与えかねませんでしたし」

 18世紀の数学者であるエミリー・デュ・シャトレは9桁割る9桁の計算式を暗算したので「危うく髭が生えたり、生殖器を駄目にしかけた」という。もちろんこれも(今では)冗談だ。

「女性たちはペンを持ち上げると、とても疲れてしまいました。それが原因で貧血症になり、血液の循環を妨げられ、時には、子宮脱になることもありました。――それってコルセットのせいだったんじゃ?」

 たしかに、腹部をしめつけるコルセットのせいで体に弊害が起こっても不思議ではない。夜に目が見えなかったり、ペンを長時間握れなかったりというのは、女性が劣っているからではなく、コルセットなどの服装や慣習で体に負担がかかっているなど他の原因があったのかもしれない。

 ちなみに、こういったものもある。

「(1896年、オリンピックを復興させた)クーベルタン男爵によると、女性がボールを投げようとしている姿は見るも無残で拍手をしているほうが自然、だそうです」

 2020年の東京オリンピックでは、こんなかつての迷信を無視して、期待どおり多くの女性選手たちが活躍することだろう。

文=ジョセート