「本を読むのが苦手」な人にもおすすめ! 自分にぴったりの本を選ぶ方法

文芸・カルチャー

公開日:2020/3/13

『頭がいい人の読書術』(尾藤克之/すばる舎)

「本を読むのが苦手」
「集中力が続かない」
 こうした苦手意識から読書を敬遠している人は多いかもしれない。本を読む行為そのものが苦痛だと、教養が見につくとか世界観が広がるとかいわれても、イマイチ心がときめかない…。読書が苦手な人にとっては、速読法やさまざまなリーディング術も難易度が高く感じられるはずだ。
 
 だが、自分の好きなように本を楽しみつつ自己成長できる読書術があるとしたら、ちょっとは興味が湧いてこないだろうか。『頭がいい人の読書術』(尾藤克之/すばる舎)は、読書が苦手な人にこそ手にとってほしい1冊だ。
 
 著者の尾藤さんは1年に1000冊の本を読み、400本の記事を執筆している人気コラムニスト。10年間、毎日のように1冊の本を10分で読み、30分で記事にするという作業をくり返してきた。これまでにインプットしてきた書籍は1万冊以上、紹介などアウトプットしてきたのは7000冊以上にものぼるという。その中で気づいたのが、読書はアウトプットしてこそ初めて完結するということ。

「本の中身を覚えられない…」という人に

 読書は読んで知識を得ることに目が向けられやすいが、インプットした内容を理解した上でアウトプットしてこそ、自己の成長につながる。本書は、「好きな本を楽しむ」という醍醐味をしっかり押さえながら、読書が苦手な人でも取り組みやすい効率的なインプットとアウトプットの仕方を伝授してくれる。

・「本選び」では何を読むかより、何を読まないか

「さあ、本を読むぞ」――普段あまり本を読まない人がまずぶつかるのが“本選び”の壁。最初はページの少ない本を選んでみようと思っていても、小説やエッセイ、ビジネス書や実用書などいろいろある多彩なジャンルを目の当たりにすると、どれを手にとればいいかほとほと困惑してしまう…。

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 そんな時に意識したいのは、「何を読むか」より「何を読まないか」を決めること。本を実際選ぼうとする前に、「自分は読書を通じて何を得たいのか」を明確にすると、読書への垣根は低くなる。

 例えば、「自己成長」を目的とするのならば、あえて他人が読まないような本を手にとってみるといいそうだ。“人気の本”のほうが無難な気がするかもしれないが、ベストセラーや流行本を避けることで、他の人とは異なる発想力を得られやすくなるのだ。

 ちなみに、読書中につまらないと感じた箇所は「自分にはご縁がなかった」とあっさり考え、捨ててしまおうと本書はアドバイス。読書は本来、心が弾む娯楽。だからこそ、もっと自由に本を楽しんでいいのだ。

・本は汚していい! スキルアップできる読書術

 読書を通じてスキルアップを図りたい。そう願う人は、ちょっとしたテクニックをとり入れながら本を読んでみよう。本書は、記憶への定着率を高めるために、はじめに目次を読んで書籍の全体像を把握することをすすめる。章と小見出しの流れを観察したり、キラーコンテンツが置かれていることが多い第1章を注視したりすると、そのあと効率よく読書ができるようになるという。

 また、本を“汚して読む”ことも重要。読書中に気づきがあれば、マーカーや書き込みをする。記入時は綺麗に要点を整理しようとせず、「漢字を使用しない」「殴り書きにする」でもOK。例えばカラーペンを用いて、1回目の読書は黒色、2回目は赤色で書き込んでおけば、自分の意識の変化も一目で確認できるようになる。そのあとでチェックした箇所に目を通すと、読んで学んだことが整理され、得た情報を忘れにくくなる。ただ読み流すだけでなく、自分で思考しながら得た情報は記憶に残りやすいので、アウトプットもしやすくなるのだ。

 1冊の本をとことん楽しみ、知識や情報を自分のものにしていけるこの読書術は、「速く読まないと」とか「いい読書をしなければ」という読書への強迫観念を消し去ってくれる。本書ではこの他にも、集中力が高いまま本を読める時間帯や場所について、また、読書スピードを高めるマル秘テクニックも紹介されているので、そちらも要チェック。

 今まで本が苦手だったというあなたも、明日からちょっとずつ読書を習慣化させ、知識と成長を同時に手に入れていこう。

文=古川諭香