家庭でできる子どもの学力対策。5000組の家庭を見てわかった学力を伸ばす親の特徴

暮らし

公開日:2020/4/21

『中学受験の超カリスマが5000組の家庭を見てわかった 子どもの学力を伸ばす親、ダメにする親』(西村則康/KADOKAWA)

 新型コロナ騒動で、教育に関心が高い家庭では憤りとやるせなさを溜め込んでいるかもしれない。学校が一斉休校になるのは仕方がないとはわかっていても、「機会を損失したわが子の教育はどう補われるのか…」「遊んでばかりで学力が低下してしまう…」など、わが子の学力が心配になってしまうのは、親として当然。来年、中学受験を控えている家庭なら、なおさらだ。

 しかしながら、現実を悲観してばかりもいられない。わが子にやれることがあるならなんでもやってやりたい、と思うのが親心だ。テレワークなどで、親が自宅にいる時間が増えているかもしれない。今回は、子どもの学力を効率よく伸ばす家庭学習について、『中学受験の超カリスマが5000組の家庭を見てわかった 子どもの学力を伸ばす親、ダメにする親』(西村則康/KADOKAWA)からヒントを得たい。

 本書は、中学受験の家庭教師として5000組の家庭を見てわかった「学力を伸ばす親、ダメにする親」について解説している。子どもの学力が伸びる家庭には共通するものがあるという。そして、それは家庭の環境や親の性格ではなく、親の心の持ちように起因している。本書が考察するに、親の在宅時間の長さ、学歴や収入、親の教育熱などは、子どもの学力に必ずしも因果関係があるとはいえない。例えば、教育熱が高い親は、子どもに過度なプレッシャーを与えてしまい、逆に成績が振るわないケースも見られるという。

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 本書によると、学力が高い子どもには、共通の特徴がある。それは、「基礎学力がしっかり定着していること」。この基礎学力の定着にはっきりとした因果関係がある、とするのが、親の心の持ちよう…つまり「子どもと一緒に伴走するような気持ち」から発せられる言動なのだ。

 本書は、母親の言動と、父親の言動を紹介している。

 子どもを伸ばす母親は、いつもニコニコしている。例えば、音読宿題につき合うときも、ニコニコ顔で聞いている。母親がニコニコと聞いていれば、子どもは「お母さんが喜んでいる」「お母さんを喜ばせている」とうれしくなり、音読を楽しむ。基礎学力から応用学習にスムーズに移れる子どもは、計算練習、漢字練習、そして音読を毎日わずかずつでも続けている、と本書は述べる。どんな問いでも、頭の中で言葉を発し、考える。内語の豊かさが、学力の伸長につながる。そして、内語を豊富にするためには、言葉を脳に厚く、たくさんインプットしたほうがよい。黙読や親による読み聞かせは脳へのインプットが一度だが、音読では文字が目から、そして口から発せられた音が耳に入ることで、二度インプットされる。小学校で音読の宿題が課せられるのは、学習効果が高いからだ。

 次に、父親の言動について。学力が伸びる子どもの父親は、わが子とよく遊ぶ。子どもにとって最高の遊び相手になることで、子どもはさまざまな経験を、身体感覚で積むことができる。身体感覚は基礎学力のベースになるという。例えば、水の比重や密度の学びに直面したとき、バケツの水を持った経験という身体感覚が備わっていると、「あれか!」と身体で感じながら知識を獲得できる。数式だけの無味乾燥な勉強ではなく、身体感覚を伴った楽しい学習となるのだ。

 音読をニコニコして聞き、子どもと身体を伴う遊びをしてみる。そうすることで、子どもの中学受験に向けた学力、さらには将来的な学力の伸びにつながりそうだ。気づいてみれば、新型コロナ騒動は落ち着いているかもしれない。

文=ルートつつみ