大反響!『離婚してもいいですか? 翔子の場合』作者・野原広子さんインタビュー。悩める女性へのメッセージも

マンガ

更新日:2020/4/14

■自分が離婚しなかったのはやっぱり子どものため

──野原さん自身も結婚されていますが、描いていて自分と重なる部分はありましたか?

野原:私も30代のときはすっごい離婚したかったんです。夫がもうトンチンカンすぎて! 

 家事をしなきゃいけないから子どもの世話を任せるじゃないですか。それなのに結局私を巻き込んできたりとか。ものすごくイライラしてましたね。

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 うちも翔子と同じく子どもがふたりいるんですが、3歳違いなのでどっちも目が離せないんですよ。マンガのなかに翔子が1週間頭を洗ってないってエピソードが出てくるんですけど、あれ、私のことです(笑)。

 一番手がかかる時期に夫が仕事で忙しくて、育児と家事の全てを一人でこなすのは本当に大変でしたね。

──イライラを旦那さんにぶつけたりはしなかったんですか?

野原:当時は専業主婦だったので、働いてくれてる夫には強く言えないですよね。休みの日は自由にしていいよって表面上は取り繕うけど、心の中は煮えくり返ってるなんてことがよくありました。

──でも野原さん自身は、離婚にはいたっていませんよね。それはどうしてだと思いますか?

野原:やっぱり子どもの存在ですよね。子どもにストレスがかかるくらいなら、自分が我慢しようって。

 上の息子が小学校2年生のとき、もう本当に家を出ようと思ったんです。それで「お母さん離婚するからね」って宣言したら、息子に「お母さんが我慢して」と言われてしまって……。それで気が抜けてしまって、結局離婚を諦めました。

──それは諦めざるを得ない……。それでは、30代のころに抱えていたイライラはいつごろおさまったんですか?

野原:気付いたら大丈夫になってたんですよね。多分、子どもが手を離れてからかな。それと、諦めることを覚えたんだと思います。夫に期待するだけムダだって(笑)。

■「離婚」の2文字が頭をチラついたら、このマンガを読んでみて

──いよいよ単行本が発売されますが、どんな人に読んでほしいと思いますか?

野原:夫婦間の問題で追い詰められそうな方に読んでほしいですね。もしかして翔子みたいな状況に陥ってるんじゃないかと気付いてもらいたいので。我慢したままで終わらせてほしくないなあと思います。

 以前、70代くらいの読者の方に「昔は夫婦仲が悪かったんだけど、今は離婚しなくてよかったと思ってる。幸せです」という感想をいただいたんですが、それって本当なのかな? って思ったんです。その方は結局自分をなんとか納得させようとしてるだけなんじゃないかって。

 このマンガは読んですっきりするような話じゃないと思います。でもだからこそ、自分の思いや考えと向き合う材料にしてほしい。翔子の決断に対してどう思うのかで、自分が本当に求めていることがわかるんじゃないかと。

 もちろん、いま幸せな人も、これから先何が起きるかわからないですよね。だから「離婚」の2文字が頭にチラついたときに、ふっと思い出してもらえるといいなと思います。

取材・文=近藤世菜

●プロフィール
野原広子:
神奈川生まれ。コミックエッセイプチ大賞受賞。出産を機に、フリーのイラストレーターとして活躍。山登りが好き。
著作に『娘が学校に行きません』『ママ、今日からパートに出ます!』『離婚してもいいですか?』(KADOKAWA)など。

ブログ:いまさら娘に伝えたい100のこと