「これって血?」傷口から“血”を流す植物/『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』④

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公開日:2019/7/22

■バナナは、草

『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』(白井匠:イラスト/ダイヤモンド社)

 おいしくて手軽に食べられることで人気のバナナ。しかし、その生態は意外と知られていません。

 まず、バナナは木のようなものに実りますが、これは木ではありません。じつは、バナナは草なのです。幹のように見える部分は、葉。これは「偽茎」とよばれ、大きな葉が何枚も折り重なってできています。つまりものすごく細長いタマネギのような構造です。本物の茎は、地下に埋まっています。

 また、バナナの皮をむいて、実の中心を指でおすと、見事に3つに分かれてさけます。これは種の名残。もともとバナナには種がありましたが、およそ1万2000年前に突然変異が起き、種なしバナナが生まれたのです。

 そして「隔壁」という種が入るための3つの部屋のようなものだけが残った結果、3等分しやすくなったというわけ。

 種がないと繁殖ができなそうで不安になりますが、株の一部を切って植えかえる「株分け」でえんえんと増えるので大丈夫です

植物データ

名前 バナナ(バショウ科)

分布 世界各地の熱帯で栽培(東南アジア原産)

大きさ 高さ2~10m

メモ 日本には明治時代以降に広まった

<次回は、サルにそっくりな植物です!>

著者について
菅原久夫(すがわら・ひさお)
横浜国立大学卒業。中学高校、短大で教鞭をとる傍ら、世界各地をめぐり植物の生態調査研究も行う。その後常葉大学の非常勤講師、SBS学苑の講師を歴任。他に、静岡新聞主催のカルチャースクールでも複数の講座を持つ。
著書に「色別 野の花図鑑」(小学館)、しずおかの文化新書「植物の富士登山」(共著、静岡県文化財団)、「富士山にのぼる」、「たべられる きのみ」、「くず つるしょくぶつのひみつ」、「まつぼっくり」(いずれも福音館書店)などがある。

白井匠(しらい・たくみ)
イラストレーター。ビジネス書から児童書まで、幅広いジャンルでヒット作を手がける。『職場の問題地図』シリーズ(技術評論社)や、『日本一楽しいカタカナドリル うんこカタカナドリル』(文響社)など。

クリハラタカシ
マンガ、イラスト、絵本、アニメーションなど多岐にわたり活躍。『ツノ病』(青林工藝舎)や、『たんぽぽふうたろうと7ふしぎ』など。