未婚の息子の代わりに、母親が「代理婚活」!? 人柄よりスペック重視にモヤモヤ…焦る親たちのリアルな状況を描いたノンフィクション【書評】
更新日:2026/3/30

「30過ぎなのに、ウチの子が結婚しない…」と悩む親御さんが増えているという。確かに、いまどきの30~34歳の未婚率は男性51.8%、女性38.5%。30代前半の男性では未婚者が多数を占めていて、女性も4割近くが結婚していないことになる。
「ソロ活」や「おひとりさま」などのキーワードが当たり前の息子&娘たちにしたらそこまで焦りはないかもしれないが、1990年代後半生まれの彼らの親世代といえば50代から70代。彼らの若かりし頃は「男は世帯を持って一人前」「未婚女性は25歳を過ぎるとクリスマスケーキ(の売れ残り)と同じ」との認識がまかり通っていたわけで、焦る親がいるのも無理はない。
現在、SNSやマッチングアプリ、ネット系結婚情報サービスに結婚相談所など、「結婚を考える男女」に向けたさまざまなサービスがあるが、その一方でそんな「焦る親」をターゲットにした代理婚活ビジネスも盛んになっているという。『ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』(石川結貴/文藝春秋)は、そんな親世代の代理婚活事情をリアルにルポするノンフィクション読み物。著者の石川結貴さんはまさに30代の未婚の息子を抱える50代の母という当事者であり、家族問題などの取材を重ねてきたジャーナリストでもある。
「代理婚活」――真剣な親たちの姿
タイトルにもあるように、本書は著者自身が「代理婚活」に挑んだリアルな体験がきっかけとなって生まれたものだ。代理婚活とは結婚させたい娘や息子を持つ親が、子どもに代わって見合いの場や交際のきっかけを作ること。ひと昔前のお見合いにも似ているが、現在は「代理婚活交流会」として親同士が集まり、子どものプロフィールを交換して積極的に出会いのきっかけを作ろうとする会が全国各地で盛んに開催されているという。著者が参加したのもそうした会で、「いい歳をした子どもの代わりに親が出るなんて過保護すぎ。結婚するもしないも当人の自由では?」と抵抗感はあったものの、実は「婚活にかなり努力したものの挫折した」という長男の話を聞いて、「ならば母が」とトライしたのだった。
最初こそ前向きになりきれない複雑な気持ちで参加した著者だったが、真剣な親たちの姿に面食らい、まわりの勢いにのまれるかのように女性の親にアプローチ。とはいえ親の連絡先や職業といった個人情報まで書かれた「身上書」を、その場で初めて会った相手に渡すことに抵抗感はつきまとい(ちなみに身上書は子どもが気に入らなければ返送する仕組み)、親目線ゆえに人柄よりスペック重視(年齢、学歴、年収、財産など)になるのにもモヤモヤ。著者はこうした会に複数回出席するもうまくいかず、勢い参加者の親たちの本音や子どもたちの本音を探り、各結婚サービスの実態やその裏側などに踏み込んでいくのだ。
「どうしたら結婚できるのか?」に明確な解はないけれど、本書でいまどきの婚活事情の実態を知ることは、親として子どもの将来を客観的に捉えるためのヒントになるのは間違いない。「実はウチも心配で…」という方、手に取ってみてはいかがだろう。
文=荒井理恵
