元オモコロ編集長・原宿、なぜ永遠に続けようと思っていた編集長の座から退いたのか? オモコロの肩書に頼らない存在を目指して、表に立たない仕事もやりたい【インタビュー】
更新日:2026/4/28
――肩書きがなくなった原宿さんは、今後何者になっていくのでしょうか?
実際、なんだか自分のことが説明しづらくなった感覚はあります。例えば、本の帯のコメントを求められても、今までは「オモコロ編集長」と書かれていたのが、「オモコロ元編集長」となると引っかかりますよね。そもそも「オモコロ」自体、世間一般で誰もが知るネームバリューがあるわけじゃないのに、その「元」って一体何なんだよ、と。
ここからまた、何かを積み上げなきゃいけない。大変ですけど、例えば「いとうせいこう」って、もう肩書きなんていらないじゃないですか。「みうらじゅん」も「宇多丸」も、名前そのものが一つの概念として成立している。僕も、一歩一歩そこへ向かっているんだと思います。名前そのものが看板になり、「オモコロ」といった説明すら不要になる領域。僕がそこを目指して歩く背中を見て、みんなにも「自分もやってみようかな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
――そのモチベーションってどこから来るのでしょうか。
抵抗。死への抵抗からですかね。
――4月29日に行われる「原宿引退式(仮)」について情報をお聞きしたいです。
まあ、トークショーなんでしょうね。復讐というか、そんな場所を作ったことを後悔させたいっていう怒りの表明の場になると思います。それがどういう形かは言葉でなかなか表現できませんが。こう、マグマのような感情が表出される感じだと思います。

――原宿さんご自身の今後の展望をお聞かせください。
ちょっと、ハゲ始めてきてて。見た目に老けが見え始めたんですよ。今は「オモコロ」で表に出て喋ったり、YouTubeチャンネルで動画を撮ったり、見た目も含んだ仕事が僕のポートフォリオのメインになっちゃっているので。老けるに連れて、これをリバランスしないといけないんじゃないかっていうのを感じます。表に立たないでできる仕事として、動画とかポッドキャストじゃない形で何かやってみたいですね。
――自分の収入を上げることよりも、「何をやるか」の方に重きを置かれているのでしょうか。
そうですね。金よりも先にくる強い動機が大事というか、魂を救われたい。俺の魂をどう救うかって問題に立ち向かっていかないといけないです。「オモコロ」は今後みくのしんたちが好きに運営するとして、俺はもっと根本的な自分の魂の器みたいなものを作りたいです。それは、もしかしたら小粋なバーかも? オーセンティックなシガーバーかもしれない。
でも、今一番しっくりきてるのはカヤックです。魂の旅路に漕ぎ出す、カヤック。それでどこか大きな海に向かう自分の姿のイメージが湧いています。鬱蒼としたマングローブの林の中を、孤独に進みたいというイメージ。カヤックが俺を救うんじゃないかという、漠然とした希望だけがあります。
――魂が救われてしまったら、モチベーションがなくなってしまうのでは?
確かにね。飢え続けていた方が、自分からチャレンジしていけるかもしれません。そういう意味では、俺という人間は欲望が強いのかもしれないですね。飢え続けて、おもしろの悪魔になって、チェンソーマンと戦いたいですね。

取材・文=岩﨑彩乃、撮影=是永日和
